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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第七章 休息の計画
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15-3 怪我の功名

 

 スイーツが乗ったトレーを持ってラルの寝室へ行くと「誰が来たの? そのトレーは?」

「グランチェスト氏からの差し入れだそうだ」


 食事のときに使う長テーブルにトレーを乗せ、ラルの前に持っていくとリビングへ戻り、ティーセットを持ってくると、ラルの差し向かいに座ってお茶を入れる。


「また何か企んでるんだね」ラルはマンゴーを使ったタルトを嬉しそうに取ると「それで、今度はなんて言ってきたの?」と先読みする。


「お前の体調が良くなったら、食事会を開くから、いつ頃がいいかと聞いてきた」好物である栗を使ったケーキを食べつつ話すと「食事会か。きっと、私のことを探るために計画したんだろうね」


「俺たち二人の関係を確認したいんだろう」


「なるほど。私たちの関係を見て、私が取るに足らないと判断したら、ショウを娘婿として勧誘するつもりなんだ」


「誰がそんな勧誘になんか乗るかよ。それでなくても、今、大チャンスを掴んで、計画を立てはじめたばかりなんだから」


「そう言えば、アディはなんて言ってたの?」

「最初はラルを連れていくことに反対されたよ」

「なんで!」


「……お子様ラルちゃんはゆっくり食べなさい」また口の横にクリームを付けて話すので、指で拭きとると食べ「オッ、うめえ。さすがシェインだな。本当に天才としか言えない」


「うん、おいしい。それで、アディは私がオルトの領地に行くことに反対してるの?」


「最初はね。でも、脚のケガの治療がキッカケで領地に入ることができると話すと、それならラルは治療に専念して、情報収集として行動しないと約束できればいいと許可をくれた」


「……なんで情報収集しちゃいけないの?」


「下手に動くと危ないからだろう? 実際、スパイ容疑で、かなりの人数が強制退去や大陸追放のような目に遭ってるからな」


「……確かに、私も調べたから厳しいことは知ってる」


「アディは、ラルの精神面の疲労を心配してるんだよ」

「精神面の疲労?」


「彼は元心理分析官だったんだぞ。表情や仕草、話し方から対象者が今、どんな心境にあるのかを読み取ることができる」


「……そうだったね」前に、話し方から突っ込まれたことを思い出す。


「アディの言ってることは一理あるし、俺もそう思うから、なんのために行くのか理解して、ラルは脚の傷の治療を最優先にすること」


「……先生みたいな言い方してるよ」



 その後、ラルは食事と睡眠をきちんと取り、ティータイムに出てくるシェインのスイーツで糖質も取ると、顔色も徐々に良くなっていった。


 そして、雨の降りも土砂降りからかなり落ち着いた降りに変わってきた頃になると、ラルの体調も回復してきて、日中は普段着で、一階のカフェにお茶を飲みにいけるくらいまでになっていた。


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