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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第七章 休息の計画
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16-3 回復の兆し

 

「あれだけの組織を作ることができるんだもん。私たちの言動や行動から、可能性の一つに入っててもおかしくないよ」


「……そうだな。しかし、そのことでお前になにか仕掛けてきたら、俺が潰す」

「……ショウ」


「お前を守ることが俺の使命だ。これはなにを置いても優先される。だから、お前はなにも心配しないで、体調を戻すことだけに集中するんだ」


「……それで、いいのかな?」


「俺たちの目標はまだ先が見えないが、グループの活動もうまくいってるから、余計なことは考えるなよ」


「……アディは、私たちを、これからどうしようと考えてるんだろう?」


「今は組織の一員として重要な任務を任せてくれてるから、彼の信頼を得ていると思ってる」


「……そう、かな?」

「心配するな。なにかあれば俺が対処する」


「それじゃあ、ショウにばかり重荷を背負わせることになる……」

「なら、その見返りをくれるか?」


「……見返り?」エッ? という顔を向けると「それは、言わなくてもわかるだろう?」

「……来ちゃダメ!」


「エッ?」


「来ちゃダメ!」

「……なぜそうなる?」

「来ちゃダメだからね!」


「なにか勘違いしてないか? 俺が言った見返りは、このまま休暇を続けると約束することだ」


「……来ちゃダメ!」

「お子様ラルちゃんに手なんか出すかよ」


「……お子様じゃないもん」

「そうなのか?」


「……お子様でいい」

「なんだって?」


「お子様でいい!」

「開き直ったな」

「だから、来ちゃダメ」


「わかった」ショウは立ち上がると、ノートPCや資料を持って隣の自分の寝室へ行く。



 寝室に戻るとソファに座ってテーブルにノートPCなどを置き、仕事の続きを始めると、しばらくして「ワアアアアアアッ!」と、ラルの泣き声が聞こえてくるので、慌てて寝室へ戻る。


「どうした!」

「ワアアアアアッ、来ちゃダメ!」


「は?」

「来ちゃダメ!」


「なんだよ」戻ろうとすると「ワアアアアアッ!」と泣き出し、止まって振り向くと「来ちゃダメ!」


「……俺はどうすればいいんだ?」

「来ちゃダメ」


 戻ろうとすると「ワアアアアアッ!」と泣くので「ラル。どっちかにしてくれないか? これじゃ、この場所から動けないだろう?」


「……来ちゃダメ」


「なら、この場所ならいいんだな?」と聞くと頷くので、ベッド脇のテーブルを今いる位置までずらし、隣の寝室からノートPCや資料をまた持ってくると、接続して仕事の続きを始める。


 その様子を見ていたラルが泣き止むので「顔拭いてから寝ろよ」座っているイスの背もたれに掛けてあるタオルを投げると、受け取ってゴシゴシと拭きはじめるので「ゴシゴシ(こす)るな!」


 すると、力を弱めてフキフキと顔を拭き、横になる。

「のどが乾いたら言えよ」と言うとゆっくり頷く。


 ラルは寝付くまでショウの動向を見ていたので(言葉に気を付けないとダメだな。勘違いされるようなことを言ったから、今回は配慮が足りなかった)


 寝息を立てるラルのところへ行くと(これで血圧が下がったら、また先生に怒られるぞ)

 しばらく様子を見たが姿は戻らなかったので、テーブルに戻ると仕事を続ける。


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