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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第七章 休息の計画
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16-1 回復の兆し

 

 二日後、充分な睡眠と薬の効果で姿を変えられるようになったラルは、看護師さんの介助の元、久しぶりに湯船に浸かった。


 暑い国ではあるがバスタブがあるので、お湯をはり、入浴剤を入れて温まる。


「雨続きで、この大陸では珍しく気温が下がったので、他のお客様もバスタブにお湯を溜めて入っていらっしゃいますよ」ラルの背中を洗いながら「雨漏りがしないか心配になるくらいの大雨なんて、経験したことないので驚いてます」


 声のほうはまだ戻っていないので、ラルは相槌(あいづち)を打ちながら話を聞いている。



 充分に温まって出てくると、ショウがアイスティーを用意して待っていた。


 ホカホカ状態のラルが、ソファでおいしそうにアイスティーを飲んでいる間、ショウは看護師さんから診察結果を聞く。


「先生の指示どおりにされているので血圧も正常に戻りつつありますから、このまま続けてください」

「わかりました。今日はありがとうございます」


 看護師さんをドアの外で見送り、戻ってくると「だいぶ良くなってきてるそうだ。もう少ししたら声も出るようになるだろう」


「アア」


 グラスが空になっているので「もう少し飲むか?」


「アア!」グラスを差し出すと受け取って冷蔵庫へ行き、半分くらい入れて渡すと、チウウ~ッと音を立てて飲む。


「フフッ、子供みたいな飲み方するな」向かいのソファに座るとクスクス笑う。


「……アア」文句を言いつつ飲むと、グラスを置いて立ち上がるので「ダメだ。さっき看護師さんに、先生の指示を続けろと言われただろう?」


「アア」


 ショウはラルを抱き上げると「まだ軽いな」ベッドへ運び、寝かせると「シーツを取り替えておいたから、ぐっすり寝られるぞ」


「アア」(ありがとう)と言って横になると「なにか欲しいものはあるか?」ベッド脇の椅子に座るショウが聞いてくる。


「……アア……」少し考えて首を横に振ると「そういえば、シンシアとミランドが心配してたぞ。話したいと言ってたが、声が出たら連絡すると言っておいた」


「アア……」


「それと、シンシアが療養所のバックアップをしてくれることになったことを、弟のジェシーに伝えといた」

「アア?」


「了承してくれたよ。シンシアが、ご老公の領地にある禁足地の調査が残ってるから、まだ大陸から出るわけにいかないと言ってたことも伝えといた。それと、ここにいるシェインも、グループからもう一人サポートを派遣してくれるそうだから、二人体制でバックアップしてくれるそうだ」


「アア!」

「これで、ここでの問題はだいぶ解決した」


「……アア~」ラルも安堵するので「それにしても、キラのメンバーがここにいるとは思わなかったから、驚いたよ」

「アア!」


「あとは、マーガの森の中の、舗装されてない悪魔の道の対策だな」

「アア~」ため息を吐く。

「なにかいい案がないか考えないとな」


「……アア~」ラルが考えはじめるので「お前は体調を戻すことに専念する約束で、任務の話をしてることを忘れるなよ」


「アアッ」

「その顔は忘れてたな?」


「アアッ!」首を横に振るので「本当か?」

「アアッ」しっかり頷くので「まあ、いいだろう」

「アアッ!」


「無理したら血圧が下がるだろうから、それで約束を守らなかったかどうか、わかるぞ」

「アアッ」大丈夫とニッと笑うので「……わかった」


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