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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第七章 休息の計画
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14-3 思いもよらない繋がり

 

 午後九時すぎにラルが寝ると、少しして例のシェフからメールが来た。


 “先ほど勤務時間が終わり、着替えが済んだところです”

 “お疲れ様でした。では、俺の部屋に来てもらえるか?”

 “承知しました。これから伺います”


 ショウはラルの寝室の続きドアから隣の自分の寝室に戻り、更に隣のリビングで来るのを待つと、しばらくしてドアがノックされた。


「はい」

『僕です』


 返事を聞いてドアを開けると、普段着に着替えた例の彼が長方形のトレーを持っているので「なにを持ってきたんだ?」招き入れながら聞くと「差し入れです」ソファ前のテーブルに置くと長方形でステンレス製の(ふた)を取り「きっと、ここに来られてから飲まれていないだろうと思って」


 トレーに乗っていたのは、ウイスキー一式とチーズやハムなどのおつまみ。


『僕の(おご)りなので気にしないでください』

「それじゃ君に悪い。半分出すよ」


『まあまあ、僕に(おご)らせてください。それに、肉類を食べたいんじゃないんですか?』


「……まあ、な」

『僕は食べられないので、食べてください』


「そんなことまで気を遣わなくていいよ」ソファの席を勧め、向かいに座ると『ロックがいいですか?』グラスに氷を入れていくので「高いんじゃないのか? 本当に半分出すから」


『実は、雨が降る前に、急遽、帰国されたお客様から頂いたものなんです。だから大丈夫ですよ』


「本当か?」ボトルを取って蓋を回すと、すでに開けてある上に少し軽いので『本当でしょう?』


「わかった。では、遠慮なくいただくよ」ウイスキーをグラスに入れていくと「そういえば、君の名前を聞き忘れてたんだ。教えてくれないか?」


『僕も、あとで名乗らなかったことに気付いて、焦りました』苦笑しつつ、おつまみが乗ったお皿をテーブルに置くと『僕はシェインと言います』


「シェインか。ではシェイン、どうしてこの大陸に来たんだ?」グラスを渡しながら聞くと『僕は、シンシア様をお迎えに来たんです』


「シンシアを?」


『はい。弟君から、シンシア様の体力が回復されたら、この港から脱出する計画が組まれているので、待機しててほしいと(おお)せつかりまして、一時待機場所となってるこのホテルにシェフとして入り、シンシア様が来られたら状況を確認して、弟君へ報告することになっています』


「シンシアの弟君って、ジェシーのことか?」

『ご存じなんですか?』


「ああ。ということは、君はもしかして、水の……」

『はい。僕は水の貴族である、シェフィールド侯爵にお仕えしている者です』


「シェフィールド侯爵?」


『アッ、ご存じなかったんですか?』余計なことを言ってしまったと、困った顔をするので「まあ、シンシアの苗字なら、いずれ分かることだから」


『……そう、ですね』

「ほかに、火や土などを担当する貴族がいることも知ってるよ」


『……そうなんですか?』

「だから気にすることない。それより、シンシアについて話すことがある」


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