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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第七章 休息の計画
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14-2 思いもよらない繋がり

 

 若いシェフは立ち上がると『困ったな。この土砂降りで外に出るのは大変だし、体調を崩してる方を置いていくのは……』渡されたメモを見ると、アドレスとともに文章が書かれていた。


「君の先輩が心配して俺たちの話を聞いてるから、我ながらトンチンカンことを言ったけど、仕事が引けたら俺の部屋に来てくれ」


 慌てて後ろのドアを見ると少し開いていたので『本当に、トンチンカンなことですよ』フフッと笑うとメモをポケットにしまい、仕事場へ戻っていく。


 部屋に戻ったショウは、ベッドで寝ているラルを起こさないようにテーブルに座るとノートPCの電源を入れ、滞在しているホテルコンコルディアのシェフとして潜り込んでいる、キラのメンバーと名乗るシェフの情報が入っているか、確認のメールを送信する。


「しまった。話を聞かれてることに気付いて焦ったから、彼の名前を聞き忘れた」我ながらアホな失態をしたと苦笑するが「きっと来たばかりなんだろう。しかし、ここでアルバートの名前を聞くとは思わなかった」あの後、彼は興味を引くことを言った。


『我らの生命の源と言える方を支えていただいている、あなたのバックアップをするのは当然ですから』


 ショウはぐっすり寝ているラルの顔を見ると「我らの生命の源か。とんでもないものを背負ってんな」



 その後、夕食の時間になるとルームサービスを頼み、ラルを起こすと食事の準備をはじめる。


 長テーブルに食事が乗ったトレーを置き、端にノートPCを置いてネットニュースを流すと、記録的豪雨の続報が出ていたのでチェックする。


 天気図とともに解説動画が始まり、大きな低気圧が大陸の東の上空に留まって、しばらくの間、雷雨に注意するよう警報が出ていた。


「川が氾濫したりしなければいいけど、地滑りとか起きそうだな」

 

 ニョッキが入ったクリームシチューを食べながら話を振ると「……アア……」空返事をするので、ラルを見ると、目の前に置かれたマンゴープリンが入っているプリンアラモードにくぎ付けになっていた。


(彼の作品だろうけど、グレードアップしすぎてないか?)


 横長のガラスの器に入ったプリンアラモードは、別の氷が入ったガラスの器に入っていて、冷たさを保つようになっている。


「夕飯が先だからな」

「……アア……」空返事をしつつ、小皿の料理を食べている。


(まあいっか。目の前に好物があったら、余計なことを考えないだろうからな)


 食後、ノンカフェインのお茶を飲みながら、ゆっくりと待望のプリンアラモードを食べる。


 暑い国ならではのカラフルなフルーツが食べやすい大きさにカットされ、生クリームとカスタードがフルーツを際立たせている。


 ショウにも別皿に乗ったフルーツがあり、フォークに刺して食べると「冷たく冷やしてあるから食べやすいな」


「アア」生クリームを口の端に付けて返事をするので「手の掛かるお子供様ラルちゃんだな」指で(ぬぐ)って食べると「レモンシャーベットの味がする。入ってるのか?」


「アア」果物をどけると、レモンとライチのシャーベットが、マンゴープリンを挟むように入っている。


「一口もらうぞ」ライチのシャーベットをスプーンですくって食べると「うめえ」

 ショウの言葉を聞いてラルも食べると「アアアアッ!」冷たさに顔をしかめる。


 きれいに食べ終わると薬を飲ませ「また、シェフにお礼を言わないといけないな」

「アア!」ラルが嬉しそうに返事をする。


「うまかったか?」

「アアッ!」

「今夜も完食。いいことだ」


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