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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第七章 休息の計画
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12-3 珍事の余韻

 

「いきなり長期滞在すれば、どうしても欲しいものが出てくるだろう? だけど金は余分に持ってきてない。そうなると、どうしても欲しいものがあったとき、誰かに買ってもらうしかないだろう?」


「それは、ショウに買ってもらえということ?」

「そう」


「なんでそんな面倒くさいことするの?」

「前に、甘えるということを教えてやると言っただろう?」


「そのためにこんなことしたの?」

「それもある」


「そんなこと、しなくていいって言ったのに」

「人に頼るということを覚えるためだ」

「頼る?」


「今まで一人で任務をこなしてきたから、難題にぶつかったとき、無理してでも一人で解決してきたんだろう?

 だからグループからの任務も、単独で乗り込んで、ウィルシーたちにはバックアップのみを頼んだ。

 その為、捕まったときは誰にも頼れず、ひどいケガを負わされることになった。

 今回はなんとは抜け出すことができたが、次はどうなるかわからない。

 だから、これ以上、お前に危険な行動を取らせないためにも、誰かに頼るということを覚えてほしいんだ」


「それは、キラのメンバーであれば、みんな同じ状態だよ。私だけじゃない」


「だからといって、このままでいいわけないだろう。ほかのメンバーがどうあれ、お前の状況をなんとかすることが先だ」


「じゃあ、なにか買ってもらったら、本部へ戻っていいの?」


「ここのなにが気に入らない。本部であれだけイヤな思いをしたのに、どうしてそこまでして戻りたいんだ」

「それは……」


「グランチェストの娘がいるからか?」

「……それも、ある」


「ほかには?」

「……それは……」

「それはなんだ?」

「それは……」


「お前がゆっくりできないのであれば、ここにいる意味がない。なにが問題なんだ?」

「……それは……」


「ラル。なにか言えば俺が怒ると思ってるのか?」

「……」

「怒るわけないだろう」


「だって、せっかくショウが計画して手配してくれたのに、それを潰してしまうから……」

「そんなこと気にしてたのか?」


「……そんなことって、だって、私なんかのために手配してくれたのに……」

「私なんかと言うなとあれほど言ってるのに、まだ言うのか?」


「……怒るじゃん……」

「当たり前だろう! 言うなと言ってるのに、きかずに何回も言うからだろう」


 ラルが泣きそうな顔をするので「まず、自分を見下す考えから直さないといけないな」

「……」


「とにかく、ここの何が気に入らないんだ?」

「……」


「怒らないから」

「さっき怒った」


「……だから、さっきのことは別だろう? 質問を変える。どうして本部に戻りたいんだ?」聞きなおすと、さらに泣きそうな顔をするので「どうして話してくれないんだ? 任務を取り上げたからか?」

「……」


「ラル。そんな顔をさせるためにここにいるんじゃないんだ。ちゃんと理由を話してくれれば対処するから」


「……不特定多数の、人間が来る……」


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