表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第一章 保護活動
50/727

29-1 恋人のフリ

 

 ものの五分も走ったところに目的のコテージがあり、駐車場に車を停め、荷物を持って受付がある建物へ向かう。

「ここにレストランがあるわ」入り口のところに置いてある看板を見ると「先に荷物を置きにいこう。手ぶらなほうがいい」


 中に入ると観光客らしからぬスーツを着た男が二人、受付カウンターの端で帳簿を見ていた。

 その男たちは入ってきたショウたちに気付くと、手を止めて鋭い目を向けてくる。


 その視線を無視して受付にいるクラークに「すみません、予約してるんですが」声を掛けると「いらっしゃいませ。お名前をよろしいですか?」


「ショウ・スペングレーです」

「スペングレー様。二名様で三日間のご予約ですね?」

「そうです」

「お待ち致しておりました。では、こちらにご署名をお願い致します」


 出されたタブレットにサインをしていると、例の男たちが声を掛けてきた。

「失礼ですが」


「はい」

「ちょっとお聞きしたことがありますので、少しお時間をいただけませんか?」


「ええ、構いませんが」少し戸惑いながら答えると「お二人は、いつこの島へ来られたんですか?」

「今日です」


「何時の船で来られたんですか?」

「午前九時の船です」


「この時間までどこにおられたんですか?」

「あの、俺たちが何かしたんですか?」


「いえ。実は人を捜してまして。もしかしたら、どこかで会われてるかもしれないと思ってお聞きしてるんです。協力していただけませんか?」

「はあ」


「で、着いてから、どこへ行かれたんですか?」

「えっと、レストランで朝食を食べて、亜熱帯植物園に行って、その後、この先のビーチで海を眺めてました」


「どこのレストランで朝食を取られたんですか?」

「そんな事まで言わないといけないんですか?」ちょっとムッとして言い返すと「すみません、教えていただけませんか?」


「……ビーチ沿いの、サーファーがたくさんいるレストランです」

「ああ、あそこですか」


「他に何か?」

「途中で、長い金髪をカールした、青い瞳の小柄な女性を見掛けませんでしたか? 観光で来てるようなんですが」


「そう聞かれても、金髪の女性はたくさんいますから」

「どうやら一人で来てるらしいんですが、そういう女性に心当たりはありませんか?」


「……特に、ありませんね」

「そうですか。ご協力ありがとうございました」


 男たちはお礼を言うと、フロントに帳簿を返して出ていく。


「大変申し訳ございません。とんだご迷惑をお掛け致しました」クラークが頭を下げるので「気にしてませんよ。これでいいですか?」サインしたタブレットを渡すと「ハイ、結構です」


 二人は鍵とコテージまでの案内地図をもらうと、建物から出た。


「総動員で捜してるみたいだな」後ろを歩くキラに声を掛けると「さて、俺たちのコテージはどこだ?」もらったパンフレットを見て位置を確認する。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ