3 伝説の中の種族
遥か昔、自然と共存している種族がいた。
シルバーフェニックス族。
光に映える美しい銀髪とグリーンの瞳を持つ彼らは、緑あふれる大地と豊かな実りを人間に提供し、その恩恵を受ける人間は彼らを崇め、敬い、感謝の心を持って接していた。
しかし、人間の文明が発達していくと、その均衡はしだいに崩れていった。
彼らの手を借りなくとも余るほどの食料を確保できるようになっていた人間は、彼らが住んでいた自然を壊し、開拓していったのである。
自然を破壊すればいずれその報いがくると、森を切り開くことに反対した彼らは次第に疎まれる存在になり、少しずつ居場所を失っていくと、人間の前から姿を消していった。
これは、とある国の地方都市に昔から伝わる伝説。
自然を大切にすることが大事だということを子供たちに教えるため、代々語り継がれてきた昔話の一つだった。
あの事件が起こるまでは……。
カタカタピーッ。
「昨日もまた一ヶ所襲撃されたのか」難しい顔をしながらノートブックのキーを叩く。
「さて、そうなると、次のターゲットは」さらにキーを叩くと別の画面が映る。
「この地区で残ってるのはここだけか。すると、次はここだな。今度こそ取っ捕まえてやるぞ」電源を切って立ち上がると「さて、先回りしとかないと」用意しておいた荷物を持つと部屋から出ていく。
ガラガラガッシャーン!
「いったーい! 何なのよこの部屋!」
ペンライトを点けて周りを見るとガラクタがたくさん置いてあるので、どうやらこの部屋は物置らしい。
「調べでは倉庫のはずだったのに、いつの間にかガラクタ置き場になってたのね」ため息を吐いて立ち上がると「もう! 埃だらけじゃないの!」パンパンと服についた埃を払い落とす。
今回の目的地は、街外れにある倉庫群の中の一つ、地下三階にある隠し部屋。
「いざ出陣!」
ドアを細めに開けて常夜灯が点く薄暗い通路の様子をうかがい、腕時計を見て警備員の見張り時間を確認する。
「今回も十五分、時間があるから余裕ね」通路へ出ると目的の部屋へ急ぐ。
「ここか」
ドア横のキーボックスに暗証番号を打ちこむと、カチッと音がしてロックが開く。
「下調べ済みだから簡単だけど、今回も警備の甘さが目につくわね」ドアを開けて中に入る。
部屋の中央には奥へ続く通路があり、両脇に鉄格子がはまった部屋が並んでいる。
灯りは等間隔にある柱に付いている小さな電球だけなので、かなり薄暗い。
時間が時間なだけに寝息が聞こえてくる。
ちなみに、只今の時刻は午前二時七分。
足音を立てずに奥へ進み、突き当たりのドアの前までくると立ちどまる。
後ろを向いて変化がないことを確かめると、ドア横に付いているキーボックスに暗証番号を打ちこみ、ロックを解除すると滑り込むように次の部屋へ入る。