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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第七章 休息の計画
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8-3 お金持ち御一行

 

 その後、ショウはグランチェストが寄越した召使たちを引き取らせ、ベッドにいるラルに訳を話すと、交換条件として指定された本館三階のスイートルームへ移動した。


 支配人の話を聞いたとき、スイートではなく従業員が仮眠を取る部屋でいいと話したが、それでは自分たちとの関係を疑われてしまうので、一旦、スイートへ移動するよう念を押されたため、理由に納得して移動することになった。


 荷物持ちを買ってでた支配人は、スイートルームのベッドに横になるラルに「大変申し訳ございません。こちらの都合でとんだご迷惑を二度もお掛けして、お詫びのしようがございません」深々と頭を下げるので「気にしないでください。私たちが動けるのは、ここの皆さんが資金を稼いでくれるお陰なんですから」


「そのご厚意に報いるよう、私たち全員、あなた方のバックアップをさせていただきます」そう言うと、支配人は一礼して部屋から出ていった。


「金持ちの中でも一番嫌いなタイプと一緒になるなんて、ついてないな。早く次の場所へ行ってくれ」


 支配人を見送って戻ってきたショウが愚痴をこぼすので「無理が通れば道理が引っ込むって言うんでしょう? 人間の一番醜いところだね」


「確かにな」



 二日後、ラルの体調は少し良くなってきたが、医者の診察ではまだ無理をしてはいけないとのことで、リビングのソファに座って、ホテル内にある図書室からショウが借りてきた本を読んでいた。


 ラルとしてはグループと連絡を取りたかったが「ここで任務は一切やるな」と言われ、ノートPCを取り上げられてしまっていたので、諦めるしかない。


 そういう彼は、ラルの前では任務に関することは一切話さない。


 しかし、気になるラルは話してくれるように何回か頼むが「ダメだ」

「気になって落ち着かない」


「……アディのほうもグループのほうも、今までと変わりなく、救出するために動いてる」


「それで?」

「ここまで」

「ショウ!」


「これといって変化がないのに、なにを話せと言うんだ?」

「ショウはここで何をしてるの? 毎日外へ出掛けてるでしょう?」


「組織にとって、今回が初の試みだったから、彼らを対岸へ運ぶ船の船長からなにか問題が出てないかを聞いて、その事について、どうしたらいいかを話しに行ってたんだ」


「それで?」


「問題点と改善策をアディに伝えて、アディ側で出た要求を船の船長へ持ってって、話し合った」


「どんな問題点が出たの?」

「大方解決した」


「アディ側の要求ってどんな事だったの?」

「それは解決済みだ」


 ラルがムッとすると「ここまで」

「こんな尻切れトンボじゃヤダ」


「大まかにでもここまで話してやったんだ。十分だろう?」

「全然!」


 しかし、ショウはそれ以上、話してくれなかった。


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