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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第七章 休息の計画
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8-2 お金持ち御一行

 

「まあ、離れがあるの? 今も使われてるのかしら?」

「はい。団体のお客様が貸し切りでお使いになられます」


「パーティの招待客用なら、内装も素晴らしいのでしょうね?」

「ご招待客されたお客様をおもてなしするために、特別に作られましたので」


「わたくし、あの離れに泊まりたいわ。お母様も、特別に作られたお部屋を見たいでしょう?」

「ええ。ぜひ拝見したいわ。すぐに移動してもらえます?」


「大変申し訳ございません。今、他のお客様がお泊りになっていらっしゃいますので」


「移動してもらうことはできないの? そうだわ。わたくしが泊っているスイートと交換すると言えば替わってもらえるでしょう?」


 母娘は(きびす)を返すとスイートルームへ戻り、父親に部屋を移りたいと話す。


「お父様、わたくし離れに泊りたいの」移りたい理由を話すと「君、すぐに手配してくれたまえ」


 すると、案内してきたクラークが「申し訳ございません。現在、二名のお客様がご宿泊されておりますので、貸し切りにすることができかねる状態でございます」再度、移動できない理由を説明する。


「どういう人達が泊ってるのかね?」

「グランチェスト様と同じく、ご旅行されていらっしゃる方でございます」


「名のある人達なのかね?」

「いえ、そのような方ではございませんが」


「では、部屋を移ってもらいたまえ」

「申し訳ございません。そのようなご要望にはお応えしかねます」


「私の言うことが聞けないというのかね?」

「お泊りになっていらっしゃるお一人の方が、体調を崩されて横になっておいでですので」


「では、私の召使いを貸そう。スイートルームと交換すると言えば、嫌がる者などいないだろう」

「いえ……」


「すぐ手配するように言いたまえ。私たちは一階のロビーで待たせてもらおう」


 クラークの言葉を遮ると、召使いたちに荷物をまとめるよう言い、一階へ降りていく。



 トントン。

 ラルの部屋のドアがノックされたのでショウが出ると、ホテルの支配人が立っていた。


「少しお時間をいただけるでしょうか」低姿勢で声を掛けてくるので「どうぞ」中へ入るとソファを勧めるが、支配人は断り「大変申し訳ないお願いをしにまいりましたので」困った顔をする。


「どうしたんですか?」理由を尋ねると「実は……」支配人は理由を話し「ここの売上金は組織の運営資金として、重要な稼ぎところでございます。ですから、ここで評判を落とすわけにいかないのでございます。どうぞご理解ください」深々と頭を下げるので「組織の運営資金を稼ぐためなら仕方ないな」


「申し訳ございません」もう一度頭を下げるので「支配人が気にすることないですよ。俺たちはタダで泊めてもらってるんですから」


「では、ご移動のお手伝いをいたしますので、お荷物の整理をお願いいたします」また頭を下げると部屋から出ていく。


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