7-2 エミアたちの調査内容
「お前は今まで一人で頑張ってきた。これからは、アディたちのバックアップをして、裏から仲間を助ければいい」
「グループからの任務がある」
「グループにもお前のことは伝えてある」
「なんでそんな勝手なことするの!」
「大陸にいる他のキラのメンバーたちも、このところ、体調を崩して倒れる者が出てきてることは知ってるだろう?」
「……うん」
「だから、お前のことも随時、報告してくれと頼まれてたことは話したよな?」
「……うん」
「グループは三ヶ月、休んでいいと言ってきてる」
「でも!」
「先に言っとく。誰もお前が本部へ戻る手助けをしないぞ」
「……どういうこと?」
「エミアもウィルシーもミランドも、お前に手を貸さないと言ってるんだ」
「……彼女たちを丸め込んだの?」
「今回の計画を彼女たちに話したとき、すぐに賛成してくれた」
「さっき、ミランドと言ったけど」
「お前が持ってる彼女の手鏡は俺が持ってる。本部から出るとき、お前のバッグから抜き取っておいた。だから、彼女に身代わりを頼むことはできないぞ」
「抜き取った?」
「俺は、どんな事をしても本部へ戻ることを阻止するからな」
「どんな事をしても?」
「そうだ。どんな事をしてもだ」
「そこまでしなくてもいいでしょう?」
「そこまでしてでも休まなければならないほど、疲弊してることがわからないのか?」
「そんな大袈裟な」
「少しも大袈裟じゃないぞ。さっきだって、貧血を起こして倒れたばかりじゃないか」
「それは……」
「脚のケガだって治りが遅い。免疫力が落ちてるからだ」
「……」
「だから、本部へ戻ろうとするのは諦めろ」そう言い残すと、自分の部屋へ戻っていく。
今日、エミアから聞いた雨雲の件をグループへ報告するのだろう。
後ろ姿を見送るラルは、ボーゼンとしていた。
(信じられない。エミアたちがショウ側に付くなんて。しかもグループまで)
今、ラルの味方をしてくれる者は誰もいない。
(エミアたちに、今の状態でここにいることが辛いと話したら、わかってくれるかな?)
しかし、その事が彼女たちからショウに伝わってしまったら、他の場所へ連れていかれる可能性があるので、どうしようか考える。
(もう、どうしたらいいんだろう?)
できることなら本部にはいたくないのだが、本部にいれば、いつあの鏡と出くわすのかと恐怖にかられることがないという、最大のメリットがある。
しかし、不特定多数の人間が出入りするホテルでは、いつ、誰があの鏡を持ちこみ、正体がバレてしまうかという最大のデメリットがあり、それが不安の元となるため、長くこの場所にいたくないのだ。
(結局、私の居場所はこの世界にないってことか)悲しくなって涙が出てくる。(任務ができなくてもいい。今は本部いられればいいんだから)泣きそうになって声が出そうになると、慌てて口を塞ぐ。
(これから先、どうしたらいいんだろう?)
とりあえず、これ以上考えることができないので寝ることにした。




