7-1 エミアたちの調査内容
午後九時前、ショウがラルの部屋へ戻ってきた。
「どうだった?」
シャワーを浴びて新しいスウェットに着替えたラルが声を掛けると、ショウはなにか言いたそうだったが、ベッド脇にある椅子に座ると「オルトに関しては調査中。あと、エミアたちが大きな雨雲を運んできて、今度は大陸の西半分に雨を降らせるそうだ」
「そういえば、この前雨を降らせたのは東半分だったね」
「オルトの領地の西側にある湿地帯はほとんどが泥地になってた。あれが普通の状態だと思ってたが、違ったらしい。だから、ウィルシーたちはあの湿地帯に行けなかったそうだ」
「前回エミアたちが雨雲を持ってきたとき、ここら辺は雨が降らなかったんだ」
「さすがに大陸の東半分を覆うほど巨大な雨雲はないだろう。それに、同じ場所に長時間、雨雲を留めておくのは難しいだろうからな」
「そうかもしれないけど」
「しかし、前回、雨雲を持ってきたとき、隔離されつつある空域が広がったこともあって、再度、雨雲を持ってくることにしたそうだ。雨を降らせた後、空域がどうなるのか、それを確認してから、その後のことを考えようということになった」
「いつから雨が降るか聞いた?」
「予定では二・三日後くらいからと言ってた」
「その事をグループに報告しないといけないね」
「それは俺がやる」
「それくらいできる」
「俺がやる」
「もう大丈夫」
「エミアたちが心配してるぞ」
「……私のこと、なんて言ったの?」
「当分の間、仕事は休ませる」
「……そう」
「納得してたよ」
「……」
「だから、しばらくの間、ここに留まることも話した」
(やっぱり)
「まだ本部へ戻ろうと思ってるのか?」
「エッ?」
「今、本部に戻っても、アディは仕事をやらせないぞ。それどころか、今回のような仕事を与えて、本部から出すだろう」
「なんで?」
「ここで休むことを話してあるからだ」
「休むこと?」
「アディには、今のお前がどんな状態なのか話した」
「どうして!」
「調子が良くないことは知ってたらしいが、休まなければいけないほどとは思ってなかったらしい。ナディアたちの件が引き金になったのかと、何回も聞いてきた」
「……」
「彼女たちを止められなかったことを、ずっと気にしてたらしい」
「……」
「アディは、元気になるまで休んでいいと言ってた」
「そんな悠長なことしてられない」
「救出活動はお前一人がやってるんじゃないんだぞ」
「それは……」
「今まで、アディたちの活動を見てきただろう? 俺たちが二人で動くよりも、彼らのほうがはるかに成果を上げてる」
「……」
「助けだしたお前の仲間も、あそこなら安心して任せられる」
「……」




