28-3 合流
波打ち際を歩いていくと「きれいなところ」
「なんか、人魚でも出てきそうだな。そういば、キラはどこの生まれなんだ?」
「何? いきなり」
「聞きたくなっただけ。どこなんだ?」
「……片田舎よ」
「姉妹は?」
「一人っ子」
「親父さんは何をやってたんだ?」
「今度は身元調査?」
「そんなんじゃない。お前のこと、何も知らないから聞いてるんだ」
「知らなくたっていいじゃないの」
「話したって、減るもんじゃないだろう?」
「……父は、小さな会社を経営してたわ。私が十歳のとき、家が火事になって、それから、施設で育ったわ」
「親戚とかいないのか?」
「厄介払いされたのよ」
「……冷たい連中だな」
「……しょうがないわ」
「俺は前にも話したとおり、三人兄弟の末っ子。親父は公務員してる。小さい頃から兄貴たちと比べられて、中学に入ってからはほとんど口をきかなかった」
「ずいぶんと冷たい家族関係だったのね」
「まあな。顔を合わすこともほとんどなかった。大学四年のとき、公務員になれと親父に言われたけど、他にやりたいことがあったから、なる気はないと言ったら、言うことが聞けないんだったら出ていけと言われて、卒業するとすぐに家を出た」
「出てから家に連絡してるの?」
「全然」
「きっと心配してるわよ」
「どうだか」
「電話だけでもいいからしてみたら?」
「今更いいよ」
「意地っ張り」
「日差しが強いな。木陰で休むか」
波打ち際を離れて椰子の木の下へ行くと、丸太で作ったベンチに腰掛ける。
「ククッ」突然笑いだすので「何? いきなり笑いだして」
「いや、やけに素直に付いてくるなと思ってさ」
「私だって暑いと思ったからよ! べつにショウに付いてきたわけじゃないわ!」
「やっぱり素直じゃない」
「捻くれてて結構よ」と言うとジッと見るので「何よ!」噛みつくような勢いで聞くと「別に」と言い返して視線を外す。
「キラ、キラ。そろそろコテージに行く時間だぞ」
「……コテージ? ン? な、何するのよ!」
「何って、何もしてないよ」
「ウソ!」
「ウソじゃない。お前が居眠りしはじめて、ベンチから落ちそうになったから支えてやっただけだ」
「エッ?」
「落ちてもよかったんだったら、ホッといたよ」
キラが黙り込むと「ほら、行くぞ」声を掛けて立ち上がる。
ショウのあとから来た道を戻る途中、腕時計を見ると午後二時を回っていた。
「二時間も寝てたの?」
「そうだな」
「なんで起してくれなかったの?」
「気持ちよさそうに寝てたから」
車へ戻り、乗り込むとコテージに向かった。
「怒鳴ったりしてごめんなさい」
「いいよ」
「腕、痛くない?」
「大丈夫」
「……そう」
「キラにもかわいいところがあるんだな」
「な! いきなり何を言い出すの!」
「ククッ」
「フン!」
「そういえば腹減ったな。向こうに食べる所があるかな?」




