4-2 ショウの計画
ラルはベッド横のソファに座るとため息を吐く。
今回の任務の内容を聞いてから、体調が思わしくないことを忘れて動き回っていたので、その反動が出てきたらしい。
(体力が落ちていくのがわかる。いつまで持つんだろう?)
ここ最近、この事が頭の中に浮かんできて不安になる。
(まだ倒れるわけにいかないのに)ソファに寄り掛かると(それにしても、こんな事になるなんて思わなかった)まさか、このような事態になるとはまったく予測していなかった。しかも、脚のケガがまだ完治していないので、行動範囲も制限されてくる。
(でも、こんな所に長期滞在するわけにいかない)
ラルは、ショウに聞かれたらマズいことは口に出さないようにした。
もしかしたら、また盗聴器を付けられているかもしれないと思ったからだ。
彼には、ラルが怒って本部へ戻ろうとすることは予測できるので、それを阻止するため、なにか手を打っているだろうことはラルにもわかっていた。
(とにかく、送りだした仲間の到着連絡と、ウィルシーたちに頼んだ、オルトの情報を確認しないといけない)
目が覚めると翌朝の午前八時だった。
「私、いつの間にベッドに入ったのかしら?」
服を見るとパジャマではなく、昨日着ていた服のまま。
とにかく起きてソファのところへ行くと、テーブルにメモが置いてあった。
そのメモには “ちゃんと食べて、薬を飲んでから寝ろ” と書いてあった。
昨日の朝食以降、お昼も夕飯も一階のダイニングルームに現れず、ルームサービスも頼まなかったのを心配して、フロントで合い鍵をもらい、ソファで寝ているのを見つけてベッドに運んだのだろう。
ラルはシャワーを浴びて着替えると、食事をしようとダイニングルームへ行ったが誰もいなかったので本館へ行き、フロントで本館のダイニングルームでの朝食の時間を聞くと「朝食のお時間は、午前六時から九時まででございます。あとはルームサービスでご注文ください」
そう聞いて腕時計を見ると午前九時を十五分オーバーしていたので、もうダイニングルームで朝食は食べられない。
仕方ないので部屋へ戻ってルームサービスを頼むことにし、渡り廊下を戻って離れのラウンジまで来ると、急に目眩に襲われてしゃがみ込んだ。
今、この離れにはラルとショウしか泊っていないので、他の客が来ることはない。
ラルは、少しすれば治まるだろうと思って動かずにいたが、目眩はひどくなる一方だった。
(どうしよう。こんな所で倒れて、また元の姿に戻ってしまったら大騒ぎになる)
気をしっかり持とうと思うが、その場に座り込んでしまった。
渡り廊下の先から人の声が聞こえるのに、大声が出せないので、助けを呼ぶことができない。
意識がだんだんと遠のいていく。
(ショウ、どこにいるの?)




