4-1 ショウの計画
「あとは、向うの港に着いたと船長から連絡がきて、迎えに来てる組織員から彼らと合流したと連絡をもらい、組織の支部に着いたと組織員から最終連絡がくれば完了か」自分の役目を完了してホッとするカイ。
「ここまで来んのが一番の問題だったからな」笑顔を見せるので「運転大変だったでしょう? 向こうの港に着いたと連絡が入るまで休めるわよ」
するとカイは不可解な顔をして「なに言ってんだよ。俺たちはこれからすぐ本部へ戻るんだぜ。ここに残って連絡を受けんのはラルたちだろう?」
「ハ?」
「ハ? じゃねえよ。ラルとショウはここに残って、やることがあんだろう?」
「ないわよ」
「そんなことねえだろう? アディがそう言ってたぞ」
「アディが?」
「どうなってんだよ。ショウは聞いてんだろう?」
「ああ」
「エッ! どういうこと?」
「じゃあな。気を付けて帰れよ」ラルの質問に答えずカイに声を掛けるので「いいのか?」
「ああ。向こうから連絡きたら報告するよ」
「ねえ、どういうことなの?」ラルが二人の間に入ると「じゃあカイ、またな」ショウがまた声を掛けるので「エッ、ああ、わかった!」停めてあるジープへ走っていくので「ちょっと待って! カイ!」呼び止めるが構わず走っていく。
「もう船は見えなくなったな」ショウが海を見るので「どうなってるの? ショウ、ここでやることって何?」
ショウは、カイたちがジープに乗って駐車場から出ていくのを確認すると「前に、本部から出て休むと言っただろう?」
「アッ! だからって、なにも言わずにこんな事しなくてもいいでしょう?」
「ドクターに診てもらわなかったら、どんな事をしてでも連れだすとも言ったはずだ」
「……この仕事は急に言われたのよ」
「ドクターに診てもらう時間はあっただろう?」
「事前準備に時間が掛かった」
「診てもらう時間は取れたはずだ」
「……本部に戻ったら診てもらう」
「もう遅い」
「ショウ!」
「さあ、ホテルに戻るぞ。車を持ってくるから待ってろ」ショウは駐車場の端に停めてある四駆に乗って戻ってくると「乗れよ」窓を開けて声を掛けてくる。
「この車、どうしたの?」
「レンタカー。昨日借りて、置いといたんだ」
「……いつの間に」
ショウの運転で渋々ホテルに戻ってくると、ラルたちの部屋は一階に移動していた。
一番奥の部屋がラル、その隣がショウ。
「いつの間に」
「俺が出発前にフロントに頼んでったんだ。その脚で階段の上り下りはきついからな」
「それはどうも」
家具の配置は以前の部屋と反対になっているが、そのほかは同じだった。
「ここまで来るのがきつかったから、今日は部屋で休んでろよ」そう言うと、ショウは隣の部屋へ戻っていく。




