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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第一章 保護活動
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28-2 合流

 

 突然、バッグの中や身に付けているものを調べはじめた。


「発信機を探してるなら、ここにあるものを調べても出てこないぞ」と言うので手を止め「どこにあるの?」

「それは内緒」


「お願いだから、これ以上付きまとうのはやめてよ!」

「なんで?」


「迷惑なの!」

「なぜ?」


「迷惑だから迷惑なの!」

「だからなぜ? 今回の仕事を邪魔したか?」


「それは……」

「それとも、グループのことをしつこく聞くからか?」


 頭を抱えるキラに「どうしてもグループに入れてもらえないのなら(あきら)める。けど、お前をサポートするくらいならいいだろう?」

「サポートなんていらない!」


「今の状態でこの先活動していったら、またミスするぞ」

「何ですって! 失礼なこと言わないで!」


「本当のことだ。以前のお前なら、発信機なんかとっくに見付けてたはずだ」

「……」


「とにかく、少し休んだほうがいい」

 キラは何も言わず、外したものを着けはじめる。


「なあ、行き先を教えときながら、どうして先に行った?」

「エッ?」


「Tホテルにいたときのことだ。なんで突然、出発時間を変更した?」

「……」


「気が変わったからだとしても、行き先を教えたからには、追ってくるのがわかってたはずだ」

「……」


「何があった?」

「……」


「まあ、あの時は酒が入ってたからな」

「……」


「せっかくここまで来たんだ。ビーチでも散歩しよう」

 席を立つがキラは動かない。


「ほら、行くぞ」腕を(つか)んで無理やり引っ張っていくと「私はいい!」

「歩けば少しは気が晴れる」


「いいって!」手を振り(ほど)こうとするが、力の差は歴然としていた。

「お勘定、ここに置いときますから!」ショウが大声で声を掛けると「ハイよ!」威勢のいいおばさんの声が返ってくる。



 二人は階段を降りて砂浜に出ると、波打ち際まで歩いていく。


「ヘェ、こんなところまで魚が来てるぞ」海の中でキラキラと(うろこ)が光っている。


「わかった! 歩くから腕を放してよ!」手を振り(ほど)こうとしているキラを見て手を離すと、(つか)まれていたところを痛そうに(さす)りながら「もう、どうしてこう乱暴なのかしら」


「ワガママなレディーだ」

「エッ?」


「あいつも確か、こう言ってたよな」

「なんでそんな事……いつ! どこで盗聴器を付けたの!」


「昨夜、ホテルでお前たちを見送ったとき、すれ違いざまに、奴の上着の(すそ)の裏側に付けたんだ」


「ホテルで見送ったとき? まさか、あの時のドアマン!」

「正解」

「あんなところにいたの!」


「出入りをチェックするには、もってこいの場所だろう?」

「全然気付かなかった……」


「俺だって変装くらいするさ」

「……そう、アレンに付けたの」ホッと胸を撫で下ろす。


「ベッドシーンになったら、どうしようかと思った」

「そんな事するわけないでしょう!」


「だよな。お昼までゆっくり寝てて、だもんな」

「……私の真似はしなくていい」

「ハイハイ」


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