28-2 合流
突然、バッグの中や身に付けているものを調べはじめた。
「発信機を探してるなら、ここにあるものを調べても出てこないぞ」と言うので手を止め「どこにあるの?」
「それは内緒」
「お願いだから、これ以上付きまとうのはやめてよ!」
「なんで?」
「迷惑なの!」
「なぜ?」
「迷惑だから迷惑なの!」
「だからなぜ? 今回の仕事を邪魔したか?」
「それは……」
「それとも、グループのことをしつこく聞くからか?」
頭を抱えるキラに「どうしてもグループに入れてもらえないのなら諦める。けど、お前をサポートするくらいならいいだろう?」
「サポートなんていらない!」
「今の状態でこの先活動していったら、またミスするぞ」
「何ですって! 失礼なこと言わないで!」
「本当のことだ。以前のお前なら、発信機なんかとっくに見付けてたはずだ」
「……」
「とにかく、少し休んだほうがいい」
キラは何も言わず、外したものを着けはじめる。
「なあ、行き先を教えときながら、どうして先に行った?」
「エッ?」
「Tホテルにいたときのことだ。なんで突然、出発時間を変更した?」
「……」
「気が変わったからだとしても、行き先を教えたからには、追ってくるのがわかってたはずだ」
「……」
「何があった?」
「……」
「まあ、あの時は酒が入ってたからな」
「……」
「せっかくここまで来たんだ。ビーチでも散歩しよう」
席を立つがキラは動かない。
「ほら、行くぞ」腕を掴んで無理やり引っ張っていくと「私はいい!」
「歩けば少しは気が晴れる」
「いいって!」手を振り解こうとするが、力の差は歴然としていた。
「お勘定、ここに置いときますから!」ショウが大声で声を掛けると「ハイよ!」威勢のいいおばさんの声が返ってくる。
二人は階段を降りて砂浜に出ると、波打ち際まで歩いていく。
「ヘェ、こんなところまで魚が来てるぞ」海の中でキラキラと鱗が光っている。
「わかった! 歩くから腕を放してよ!」手を振り解こうとしているキラを見て手を離すと、掴まれていたところを痛そうに擦りながら「もう、どうしてこう乱暴なのかしら」
「ワガママなレディーだ」
「エッ?」
「あいつも確か、こう言ってたよな」
「なんでそんな事……いつ! どこで盗聴器を付けたの!」
「昨夜、ホテルでお前たちを見送ったとき、すれ違いざまに、奴の上着の裾の裏側に付けたんだ」
「ホテルで見送ったとき? まさか、あの時のドアマン!」
「正解」
「あんなところにいたの!」
「出入りをチェックするには、もってこいの場所だろう?」
「全然気付かなかった……」
「俺だって変装くらいするさ」
「……そう、アレンに付けたの」ホッと胸を撫で下ろす。
「ベッドシーンになったら、どうしようかと思った」
「そんな事するわけないでしょう!」
「だよな。お昼までゆっくり寝てて、だもんな」
「……私の真似はしなくていい」
「ハイハイ」




