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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
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71-1 姿なき領主

 

 次の日の午前中、リサーチルームにショウの姿があった。


 本部のマザーデータからオルトの情報を引き出していると、アディが入ってきて「奴に付いてのデータは、まだ揃ってないよ」と言って隣の席に座るので「ああ、そうなのか」手を止める。


「興味を持つと思ってたよ。しかし、奴については、どんな方法でも同じ情報しか取れないんだ」困った顔をして「奴は滅多なことでは人前に出てこないんだ。だから写真もないんだよ」


「情報部員が、奴の領地内にある村に潜り込んでるんだろう?」

「ああ。奴の屋敷に潜り込んでる」


「それでも情報が取れないのか?」

「そうなんだ。だから、もっと詳しく調べるように言ってるんだけど」


「けど?」

「なに一つ、奴に関しての情報が掴めないと報告してくるんだ」


「屋敷内に潜り込んでるのに?」

「そう。屋敷の中には居るらしいんだけど、一度も会ったことがないと言うんだ」


「ということは……」考え込むので「何か気になることがあるのか?」

「その屋敷はカムフラージュの可能性がないか?」


「カムフラージュ? すると、奴は別の場所にいるということか?」

「その可能性はあるな」


「確かに」

「帰りに調べてくる」

「いや、それはマズい」

「なぜ?」


「君たちが通る場所と奴の屋敷がある場所が正反対だからだ。奴の屋敷へ行くには大きく迂回しないといけない。しかも、そこへ行くまでに、別の領主の領地を通らないといけないんだが、その領主は用心しないといけない奴なんだ」


 アディはコンピュータのキーを叩くと、オルトの領地の周辺地図をモニターに出し「君たちが通るのは奴の領地の西側。奴の屋敷があるのは領地の東側だ。そして、帰りに屋敷のほうへ行くには、北側にあるこの領地を通らなければならない」


「俺たちが通る西側の道から奴の屋敷がある東側へ、直接行く道はないのか?」

「西側はほとんどが湿地帯なんだ。だから道はないんだよ」

「そうだったな」


 オルトの領地の北側を陣取っている領地の領主は、コルチネスという表向きはコンピュータ製造会社を経営しているが、裏では化学兵器を製造している戦争仕掛け人である。


 そのため、彼の領地には、至るとこに最新型の防犯システムが備わっている。


「この防犯システムは調べが終わってないんだ。むやみに侵入すると、生きて帰ってこれないぞ」

「では、南側から入ればいいじゃないか」


「よく見てみろよ」モニターを操作して南側の地図を出すと「そうか。オルトの領地なのか」


 この大陸にいる十三人の領主のうち、最も厄介な領主は三人いる。

 その内の一人がコルチネスで、オルトの領地の南側に陣取っているナスコットが二人目である。


 彼の表向きの仕事は医療品の開発で、世界中に支店を持つ医薬品会社を経営しているが、裏の顔は細菌兵器の研究をしているとの噂がある。


「奴の領地には、細菌によって変化した奇妙な生物がいるらしい。許可なく入った者は、誰一人として帰ってこないと言われてるんだ」


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