70-2 新しい任務
「カイ。脚は大丈夫?」通路に出ると、あとから出てきたカイに声を掛ける。
「バッチリ! 若いから治りが早かった」
「まあすごい。ところで、目的地の漁港まで、ここからどのくらい掛かるの?」
「そうだな……約三日ってところだな」
「じゃあ、途中でどこかに泊るのね?」
「ああ、もう手配してあるよ」漁港までの道順が書いてある紙を渡す。
「マーガの森の中を突っ切っていくの?」
「迂回すると一日余分に掛かるんだよ」ラルが持っている地図の迂回路を指す。
「大丈夫なのか? この森には、この土地の領主が雇ってる見張りがいるだろう? 見つかる危険性はないのか?」隣にいるショウが気になることを聞くと「今まで会ったことねえぜ」
「しかし、いることはいるんだろう?」
「まあな。けど、誰も会ったことねえんだよ。だから、噂だけなんじゃないかと思うぜ。念のため、探知機は作動させてんけどな」
「……そうか」
「出発は明後日の午前十時。三番倉庫だから遅れんなよ」
ワークセクションから出るとカイと別れ、ラルたちはその足でラウンジへ向かい、お茶を飲んだ。
「見張りのことは気になるな。情報では、ここの領主は数名雇って見回りをさせてる。なのに、なぜ誰も会わないのか。本当に森の中を見回ってるんだろうか?」
「その事は、ウィルシーたちに聞いたほうが早いでしょうね。きっと彼女たちの仕業よ」
「だろうな。詳しく聞いといてくれ」
「わかった」
「それと、もう一つ気になるのは、なぜこの領主の土地を通らないかだ」
マーガの森を出てまっすぐ北へ進むと通る領地。
「ここを突っ切れば半日は時間が短縮できる」テーブルに広げている地図を指すと「誰の領地なの?」ラルが覗きこむ。
「オルトと呼ばれてる宝石商だ。十三人いる領主の中では若いほうで、三十代半ばらしいが、ハッキリとはわからない」
「なんで?」
「秘密主義で、ほとんど情報が取れないんだ」
「……そうなの」
「だから、奴のことを詳しく調べたいんだが、手段がないんだ」
「じゃあ、ウィルシーたちに頼んで調べてもらう」
「大丈夫か?」
「今まで何回も頼んでるから」
「そうか。じゃあお願いするか」
お茶を飲み終わると、ショウはカイに、なぜオルトの領地を通らないのかを聞きにいき、ラルは湖へ、マーガの森の見張りのことを聞きにいった。
湖を挟んで本部の向かい側にある森の中に食い込んだ入り江があり、そこへ行くとウィルシーを呼ぶ。
『わたくしがスピリトス シルヴァ に頼んで操ってもらってますの』
「やっぱりあなたなのね?」
『なにかございましたの?』




