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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
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68-3 夜の湖会議

 

『なんで?』

「……彼の、気持ちに、応えられないから」

『その事に気付いてしまいましたのね?』


『彼の勝手な気持ちに応える必要ないわ。こんな状況なのに、そんな事を考えてる暇なんかないでしょう?』


「なんで知ってるの!」


『ラル、さっきも言ったとおり、あなたが何も言わずに出ていけば、彼は必ずあとを追っていく。それは、あなたにもわかってるでしょう? だから、私たちにあとを追ってこれないようにしてほしいと頼んだ。でもね、どんな障害が起こっても、彼はあなたを捜すことを諦めないわよ』


「……」


『だから、どうしてもここから出ていきたいのなら、きちんと彼と決別してから行きなさい。それができないのならやめなさい』

「……エミア」


『彼と離れなければならない理由は、彼の気持ちに応えられないからだけですの?』

「……私が一緒にいたら、彼を、死に追いやってしまう」

『なぜそんな事がわかりますの?』


「私が捕まるたびに彼が決着を付けにいったら、命がいくつあっても足りないでしょう?」


『ラル。あなたは、彼のことを考える前に、自分のことを考えなければいけませんのよ』

「エッ?」


『あなたは、数少ないシルバーフェニックスの女性だということを、お忘れになってはいけませんのよ』

「……それは」


『今を考えなければ、先はありませんのよ』

「今を?」


『そうですわ。今を生き延びなければ未来はありませんのよ。こんな状況のときに、さらにご自分を苦しめるようなことをして、なんになりますの?』

「それは……」


『あなたが彼の気持ちに答えられないと言う理由はわかりますわ。でも、それは、生き延びて、この事態が解決してからの問題ではありませんの? 王国へ戻ってからのことですわよね?』

「……」


『その前に、あなたが亡くなってしまうようなことが起きてしまったら、その理由のために彼と決別してしまう理由になりませんでしょう?』


『ウィルシーの言うとおりよ。今現在、どうすればいいのかを考えるべきよ』

「でも……」


『彼が決着を付けに行ってしまうことは、やめてほしいときちんと言えばいいことですわ。話せばわかっていただけるはずですわ』


「ダメよ。やっぱり一緒にいられない。今の内に離れたほうがいいのよ」


『彼ほどあなたのことを理解してくれる人間とは、これから先、出会えるとは思えませんわ』

『そうね。彼は貴重な存在よ。あなたにとって』


「私にとって?」


『もう一度言いますわ。今を考えなければ未来はありませんのよ。今、あなたが思っていることを彼にお話ししたほうがいいですわ。彼はその事を聞きたがっていますもの』


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