表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
462/721

66-3 ラルの異変

 

「その頃、一人でいるのが寂しかったから、その人が、いつも気に掛けてくれたのが、嬉しくて……」

「それで?」


「どんどん心の中に入ってきて、私も話を聞いてほしかったから、いろんなことしゃべっちゃって……そうしたら、ある日、その人が、あの鏡を持ってきたの……」


「逃げられなかったのか?」


「いきなりあの鏡を突き付けられて、元の姿に戻った私を見て、やっぱりそうだったのかって、笑ったの」

「……」


「俺にもツキが回ってきたな。いい獲物を見つけたもんだ。極上じゃねえかって……これで、俺も、一生遊んで暮らせるって……」

「……」


「ショックだった。あの優しさがウソだったなんて……信じてたのに……」

「……」


「正体を知られてしまったから、彼をなんとかしないといけないけど、私たちは人間を殺してはいけないことになってるから、異空間の(おり)に閉じ込めたの」


「異空間の檻?」


「人間の世界には『神隠し』と言われる現象があるでしょう? 突然いなくなってしまう現象。それは、異空間に入り込んでしまうこと。その異空間には風船の中にいるような一定の空間があって、そこに入ってしまうと、中から出られない場所があるの」


「では、そこに入ってしまったら、絶対出られないのか?」


「いいえ。外から出入り口を開ければ出られる」

「なるほど。で、奴をその檻、空間に入れたのか?」と聞くと頷く。


「人間はお前たちを殺してるのに、お前たちは人間に手が出せないのか。なぜなんだ?」

「人間の進化を見守るのが、役目だから」


「……誰がそんなこと決めたんだよ。不公平にもほどがあるぞ」

「昔からずっとそう言われてきたから、わからない」

「……そうか」


「その時、襲われそうになって、泣きながらやめるようにお願いしたけど、聞いてくれなくて。どうしたらいいかわからなくなって、もうダメだと思って毒を飲もうとしたとき、危険な状態になったら、異空間の檻に入れろと教わったことを、思い出して、ギリギリだった」


「その事を忘れるために暗示を掛けたのか」


「任務は、続けないと、いけないから、恐怖心を、封印するために、掛けた」

「そうだったのか……辛かったな」ラルの頭を撫でる。


「なんで、暗示だと、わかったの?」

「目付きだ。暗示が始まったとき、少しの間、目付きが変わったんだ」

「……そう」


「お前が催眠術を使えると知って調べたんだ。掛け方、解き方、そして対処法」

「対処法?」


「あの暗示は中途半端に掛かってた。だから、暗示で変わったのがわかったんだ」

「……」


「中途半端だったから、なにかショックを与えれば解けると思った。だからこんな事した。これしか思い浮かばなかった。殴ればよかったんだろうが、お前に手を上げることはできない」


「……ごめんなさい」


「もういい。発端が人間のせいだった。しかも、その時恐ろしい目に遭ったんだ。対処してて当然だ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ