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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
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65-3 葛藤

 

「そんなこと言うから、ショウまで憎んでしまうそうになるのよ! そんなふうに言わないで! 私を除け者にするような言い方をしないで!」


「除け者になんかしてない!」


「孤独を感じてしまうの。その孤独と戦わなければならないのはわかってる。

 それがキラとして選ばれた私の試練。でも、あまりにも長すぎるの!


 人間はみんな仲良く暮らしてるのに、私は深入りしてはいけないの。

 いつも一人でいないといけないの。


 だから、ショウまで人間の立場でものを言うと、壁を感じてしまうの。

 人間なんだから、当たり前なんだけどね」


「そこまで気付かなかった。お前には壁のように聞こえてたのか。言っとくが、俺は壁を作ってる気はないからな」


「言われて当然だと言って壁を作ってるじゃないの! 俺は人間だ。だから言われて当然だ。お前は違う。立場が違うって!」


「そんなつもりで言ったんじゃない! お前が言いたいことをすべて呑み込んでしまうからだ! 呑み込んでしまったことを言ってほしいから言ったんだ!」

「……」


「言葉って難しいな。このままじゃ、お前に対して一言も話せなくなる」

「……ごめんなさい、知らなかった」


「お前が謝ることない。もう少し考える。だからお前も、イヤだと思った言葉や疑問に思ったときは、すぐ聞いてくれ。俺たちはまだ、お互いを知らなすぎる」

「……」


「お前の泣き顔を見なくて済むのはいつになるのか……」

「……」


「俺が何か言えば、いつもお前を傷つける。そんな気は全然ないのに、誤解が生まれる」

「……」


「わかってる。お前はまた俺を怖がってる。だから話してくれない」ラルが驚いた顔をするので「お前が歩み寄ってくれなければ、この溝は埋まらない」

「……」


「お前が俺を怖がる理由はわかってる。それはアディたちにも言えることだ。お前は同じ目で俺たちを見る」

「……」


「そんなお前に対して、どう接したらいいか、ずっとわからないでいる。俺一人が頑張っても、お前が心を開いてくれなければ、どうしようもないんだ」

「……」


「お前がイヤがることはしない。約束する。だから、俺を信じてほしい」

「私が怖がってること、気付いてたんだ」


「ああ。だからアイツが許せなかった」

「アイツ?」


「スタニルだ。アイツのせいで、お前の中にあった恐怖心が蘇った」

「……」


「何年もかけてお前の中にある恐怖心を取り除いてきたのに、アイツは数日でよみがえらせやがった」

「……」


「それに、お前を汚そうとした」

「……ショウ」


「お前が怖がるものは、俺が全部消してやる」

「……ごめんなさい。ショウは、いつも私のことを考えてくれてた」


「わかってくれればいい」

「壁を作ってたのは、私だった」


「今までのことを思い出して自分を責めるのはよせ。これからのことを考えばいいんだ」

「でも、ショウに悪いことばかりしてきた」


「ラル、頼むから泣かないでくれよ。お前を責める気なんてないんだから」

「自分のことを棚に上げて、私はなにをしてきたんだろう」


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