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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
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63 庭師の老人

 

 食後、ラルは久しぶりに療養所へ顔をだした。


「無理して歩き回らないでね。傷口が塞がったばかりなんだから」


 ラルのケガを診てくれているドクターと一緒に、各部屋を見て回る。


「みんな、良くなってきてよかった」

「あなたが来れない間、ショウが頻繁に来てくれて、彼らと私たちの間を取り持ってくれたのよ」

「ショウが?」


(かたく)なに私たちのことを拒んできた彼らが、彼が来るとまるっきり反対の態度を取るんですもの。いつも驚かされたわ」

「……そう、ですか」


「最初、彼は、姿を変えて潜り込んできたシルバーフェニックスなんじゃないかと思ったから、どうしても確かめたくて、直接聞いてみたの。そうしたら彼、真剣な顔して「バレましたか」なんて言うのよ。ビックリしたけど、そのあと、ご期待に沿えなくて申し訳ないけど、俺はただの人間ですよって、笑ったの」


「この仕事に長く(たずさ)わってるから、彼らの意思を汲むことができるようになったんですよ」

「それだけかしら?」

「どういう意味ですか?」


「それだけじゃないような気がするわね。もっと他に理由があると思うんだけど、彼の過去になにがあったのかしら?」


「さあ。出会う前のことは聞いてないので、わからないですね」

「彼とはどのくらい一緒に仕事してるの?」


「そうですね……トータルして、三年くらい、かな?」

「じゃあ、それ以前の彼がなにをしてたのかは知らないの?」

「はい」


 その後、二人は療養所の奥にある温室で作業をしている庭師の老人のところへ行った。


「おや、もう大丈夫なんですか?」中に入ると、彼のほうから声を掛けてきた。「ショウさんから、具合を悪くして横になってると聞いたものですから」


「ああ、そうなんですか。ご心配をお掛けしました。すっかり、とはいきませんが、だいぶ良くなりました」


「そうですか。無理はなさらないでくださいね」

「ハイ、気を付けます」


「中を見ていかれますか?」

「はい。拝見させていただきます」


 小さいながらも温室の中は色とりどりの花が咲いていて「今、胡蝶蘭がきれいに咲いてますよ」


 隣の温室には多種類の蘭が栽培されていて、色鮮やかな花が至るところで咲いている。


「楽園に来たみたいですね。いい香り」

「もう少ししたら、皆さんがおられる本館へお持ちしますよ」

「そうなんですか。楽しみにしてます」


「ところで、いつもの彼はどうしたんですか? ここのところ来られてないようですが」


「実は、仕事で本部から出てるんです。一週間くらいで戻ると言ってました」

「そうなんですか。大変ですね」


 一通り中を見て回ると、温室からでる。


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