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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
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59 静かな時間

 

 そして一週間後、ようやく脚の腫れが収まり、歩くことができるようになったので、ラルは久しぶりに部屋の外へでた。


 ラウンジのモーニングの時間が終わった午前九時半過ぎ、まだ姿を変えることができないので額にチップを付けるとバンダナを捲き、ショウに付き添われてゆっくり歩きながらラウンジへ行くと、おばちゃんに声を掛ける。


「ラルちゃん! もう歩いて大丈夫なのかい?」


「はい。いろいろとご迷惑をお掛けしました」頭を下げると「迷惑だなんて思ってないよ。朝ごはんまだだろう? できたら持ってってあげるから、いつもの席に座ってな」


 そう言われていつもの吹き抜け側のボックス席に行くと、先にラルを座らせるショウは、カウンターで紅茶を入れると向かいに座る。


「どうした?」ラルが辺りを気にするので声を掛けると「あ、ううん、なんでもない」

「ナディアたちのことが気になるのか?」

「……」


「もう前みたいなことにはならない。気にするな」そう言われて、飲みやすくなった紅茶をゆっくり飲む。


「ここで、ずっと一人でお茶を飲んでたのか?」と聞くと小さく頷くので「……そうか」


 そこへ、おばちゃんがラルの朝食を運んできた。


「たくさん食べて、早く元気になるんだよ」ラルの前に置かれたトレーに乗っている料理は、どれも食べやすいように小さく切られていた。


「フォークに刺して食べられるようにしたからね」


 ショウも朝食を取ってくると、ラルに合わせてゆっくり食べはじめる。



 食後、おばちゃんにお礼を言ってラルの部屋に戻ると用意してあった薬を飲み、額に付けているチップを取ると、姿が元に戻っていく。


「短時間とはいえ、一日に何回も付けてると体に良くないだろう?」

「でも、顔を見せないと心配かけるし……」


「それに、突然こられても困るしな」

「……」


「グループに頼んだ薬はどうやって受け取るんだ?」

「明日、エミアが取りに行ってくれる」


「彼女が? どうやって話したんだ?」

「ミランドが、伝えに行ってくれた」

「……そうか」


「ねえ。今ペドニロスのことを調べてるんでしょう?」

「……ああ」向かいの席に座り「例の話し合いに参加することにしたらしい」


「私が失敗したからね」肩を落とすと「なぜ奴は、お前を地下牢に閉じ込めたんだ?」

「エッ?」

「理由はわかってるんだろう?」


「……私を(おとり)にして、この大陸に潜り込んでる、グループのメンバーを捕まえようとしたの」


「それだけか?」

「そう言われた」

「誰に?」

「……隊長、と呼ばれてた男」


「隊長? 狩り人の指揮官だな。奴のところには腕の立つ指揮官がいるらしいからな」

「たぶん、そうだと思う」


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