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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
443/728

56-1 修復

 

「あなたたちは本当に不思議だわ」お茶を持ってくる担当医が「長く一緒にいる私たちよりも彼らと親しくなれるんですもの。なぜなのか教えてもらえないかしら?」


「経験だと思いますよ。俺たちは長い間この仕事に(たずさ)わってきましたから」

「それだけなのかしら?」

「それだけです」


「いつか聞き出したいわね、そこのところ」

「どうやって?」

「どうしようかしら?」

「じゃあ、楽しみにしてます」


 ショウはお茶を飲み終えると本館へ戻った。



 ラルの部屋へ入ると、テーブルに二人分の食事が用意されているので「誰か来るのか?」

「ラウンジのおばさんが、ちゃんと栄養を取るようにって、ショウの分も持ってきてくれたの」

「俺の分も?」


「もし今夜、誰かと約束してたら、構わないからそのまま置いといてくれって」


「約束なんてない。ありがたくいただくよ」ラルの向かいに座ると「ずいぶんと豪華だな。うまそうだ。デザートまであって、ダンドル村にいたときみたいだな」


「……そうだね」

「やっぱり、お前は今のほうがいい」

「……今の状態では、任務がこなせない」


「そんなことない。他になにか手がある。だから、二度とあの性格に変わるな。ああいう奴は嫌いだ」すると黙り込むので「ゴメン、口調が直ってないな」


「いいの」

「でも……」


「気を遣って話をされるよりマシだって気付いた。彼女たちには気を遣ったでしょう?」

「……ああ」


「私が勘違いしてたの。上辺だけで判断してたって、気付かなかった」

「勘違いされるようなことをした。言われて当然だ」

「もういい。気にしなくて、いい」


 食後、額のチップを取り、薬を飲んで脚のガーゼを取り替えると「顔のアザは目立たなくなったけど、脚はもう少し掛かるな」取り替えたガーゼをまとめ「姿はまだ変化できないか?」


「なかなかダルさが取れなくて……」

「前に教えてもらった薬の組み合わせでもダメなのか?」

「……ないものがある」


「なんで? あのあと多めに送って……追加は、頼んだのか?」

「……うん」

「……そうか」

「……」


「焦るな……ゆっくり、時間をかけて治そう」

「そんなこと言ってられない」


「焦るほど空回りするから、ゆっくり治そう」

「……口調を変えられると、変な感じがする」


「エッ?」


「なんか、いつものショウじゃないみたい」

「お前が……ラルがイヤなら変えるよ」


「前の、ままでいい」

「いいのか?」

「……いい」


「……冷遇してる気なんてないからな」

「……うん」


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