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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
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54-1 嵐のあとの和解

 

「お前が生活費を切り詰めて金を貯めてたなんて、知らなかった」

「……気にすることない。あれは、私が勝手にやったことだから」


「もう少しお前の行動に気を配ってたら、気付いたのに……」

「自分を責めるようなことはしないでいい。ショウがそんなことする必要ないんだから」

「……ラル」


「ごめんなさい。昨日は言いすぎた。ショウがああいう行動を取るように仕向けたの、私なんだもの。自己暗示を掛けて変わった私が取った行動のほうが、非難されるべきなんだもの」


「そんな事ない! もとはといえば、俺たち人間がお前たちを追いつめた。自由を奪っておきながら、それに対抗するために変わったお前の行動をとやかく言うのなら、その前に、俺たち人間が取った行動のほうが責められなければならない!」


「ショウは、そんな事やってないじゃん」

「エッ?」


「人間を恨んでることは確かだけど、一括(ひとくく)りで見ないように、心掛けようと思ってる」

「……」


「ナディアたちが取った行動は、普通の生活ではよくあることでしょう? ショウが普通の生活の戻りたいと思うのも、当たり前のこと。ただそれに、私が勝手にやってたことが、裏目に出てしまっただけ」

「……」


「間が悪かっただけ」


「間が悪かったら、お前がこんなケガをしていいというのか?」

「これは私がミスをしたから。ショウのせいじゃない」


「お前を一人で行かせるようにしたのは俺だ!」

「ううん、成り行き上、こうなっただけ」

「……」


「だから、気にしなくていい」


「お前は優しすぎんだよ! なぜ俺を責めない! こんなケガをしたのは俺のせいだとなぜ(ののし)らない! お前が大ケガをして戻ってきたとき、俺はなにも知らないでお前を責めたんだぞ!」


「話さなかった、私が悪いんだもん」

「お前はなにも悪いことなんかしてない!」

「……」


「だから、お前が悪いんじゃない」

「……最初は、ショウが何か言ってきたら、ナディアのご機嫌取りなんかして、(うつつ)を抜かしてるから、当てになんかできないって、言おうと思ってた」


「なぜそう言わない? 言って当然だろう?」

「言えない」

「なんで!」


「だって、よく考えたら、ショウが誰とお茶を飲もうと、それはショウの自由だもん。


 彼女たちが私に抗議してきたことだって、ショウに対する私の態度が許せなかったんだと思う。

 私がショウのことを(ないがし)ろにしてると思っても、それは当然のこと。だって、本当にそういうふうに接してたんだもん。


 アディにも、もっと相棒を大事にしたほうがいいと言われたくらいだから、相当目についてたんだと思う。だから、ショウが私から離れるのは当然のこと。


 そのショウに対して、(うつつ)を抜かしてると言うなんて、自分勝手もいいところだと気付いたの」


「だからって、お前一人が苦しんでいいということにはならないだろう?」


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