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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
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51-4 すれ違いの真相

 

 とにかく手当てが先なので、傷を覆っているガーゼを取っていくと、膝下(ひざした)からくるぶしまでできている傷跡を見て、言葉に詰まる。


 その傷跡を中心に、真っ赤に腫れあがっていた。


「これじゃ、プロテクターがきつくて痛かっただろう」


 サイドテーブルに置いてある消毒液を取ると傷口を拭き、薬を塗ると新しいガーゼを当てて、その上から湿布を貼る。


 足首のアザにも腫れ止めと湿布を貼り、包帯を巻いてズボンの裾を降ろし、左足首のアザにも腫れ止めを塗って湿布を貼った。


「腫れが引くまで動かすな。手首のアザも見るから手をだせ」

「自分でやる」


「いいから見せろ」腕をつかむと袖をまくり、足首と同様に薬を塗って湿布を貼る。


 その後、顔のアザに薬を塗り「痛かったろう?」と言うと、ラルの目から大粒の涙が落ちてくる。


「ごめんな。なにも気付かなくて……」

 ラルは俯くと、声を上げて泣きだしてしまった。


「ごめん、本当にごめん……」隣に座ると肩を抱き、頭を撫でながら「こんなに傷ついてるなんて、知らなかった」近くに置いてあるタオルを取ると涙をふく。


「ごめん、ラル、ごめん……」

「アアアアアアッ!」

「ごめんな。ごめんな」


「ショウなんか、大嫌い! あっちいけ!」ショウの腕を払いのける。

「……ラル」


「あっちいけ!」ショウの体を押して帰らせようとする。

「ごめん……」


「あっちいけ!」

「どこにも行けないよ」

「出てけ!」

「……ラル、ごめん……」

「出てけ!」


 しばらく押し問答していると、ラルの声が小さくなっていく。


「い、痛い……」と言ってうずくまるので「どうした? どこが痛い?」上着を脱がすと、腕にいくつも青アザができて腫れあがっていた。


「……これは、蹴られた跡か? お前、抵抗しないで蹴られてたのかよ……じゃあ、全身アザだらけなんじゃないか?」


 ラルは、震える手でテーブルに置いてある鎮痛薬の塗り薬を取ると、痛いところから塗っていく。


「俺が塗ってやるから貸せ」鎮痛薬を取ろうとすると手を払いのける。


「ラル。貸せって」再び取ろうとするとまた手を払うので、無理やり取り上げると、震える手で取り戻そうと手を伸ばす。


「こんなに痩せてるなんて……」上着の上から掴んだときと脱いだときの差に驚き、腫れあがっているアザに塗っていく。


 一通り塗っていくと「背中を見せてみろ」シャツの裾をつかむ。


「自分で、やる」

「見えないし手が届かないだろう。持ち上げられるところまで上げろ」

「自分で、やる」


「いいから」シャツを持ち上げると、背中にもアザがいくつもできていた。

「……痛かったら……言えよ……」一つずつ丁寧に薬を塗り、シップを貼っていく。


 腫れあがったアザもそうだが、思った以上に痩せた背中が、ショウにはかなりのショックだった。


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