51-4 すれ違いの真相
とにかく手当てが先なので、傷を覆っているガーゼを取っていくと、膝下からくるぶしまでできている傷跡を見て、言葉に詰まる。
その傷跡を中心に、真っ赤に腫れあがっていた。
「これじゃ、プロテクターがきつくて痛かっただろう」
サイドテーブルに置いてある消毒液を取ると傷口を拭き、薬を塗ると新しいガーゼを当てて、その上から湿布を貼る。
足首のアザにも腫れ止めと湿布を貼り、包帯を巻いてズボンの裾を降ろし、左足首のアザにも腫れ止めを塗って湿布を貼った。
「腫れが引くまで動かすな。手首のアザも見るから手をだせ」
「自分でやる」
「いいから見せろ」腕をつかむと袖をまくり、足首と同様に薬を塗って湿布を貼る。
その後、顔のアザに薬を塗り「痛かったろう?」と言うと、ラルの目から大粒の涙が落ちてくる。
「ごめんな。なにも気付かなくて……」
ラルは俯くと、声を上げて泣きだしてしまった。
「ごめん、本当にごめん……」隣に座ると肩を抱き、頭を撫でながら「こんなに傷ついてるなんて、知らなかった」近くに置いてあるタオルを取ると涙をふく。
「ごめん、ラル、ごめん……」
「アアアアアアッ!」
「ごめんな。ごめんな」
「ショウなんか、大嫌い! あっちいけ!」ショウの腕を払いのける。
「……ラル」
「あっちいけ!」ショウの体を押して帰らせようとする。
「ごめん……」
「あっちいけ!」
「どこにも行けないよ」
「出てけ!」
「……ラル、ごめん……」
「出てけ!」
しばらく押し問答していると、ラルの声が小さくなっていく。
「い、痛い……」と言ってうずくまるので「どうした? どこが痛い?」上着を脱がすと、腕にいくつも青アザができて腫れあがっていた。
「……これは、蹴られた跡か? お前、抵抗しないで蹴られてたのかよ……じゃあ、全身アザだらけなんじゃないか?」
ラルは、震える手でテーブルに置いてある鎮痛薬の塗り薬を取ると、痛いところから塗っていく。
「俺が塗ってやるから貸せ」鎮痛薬を取ろうとすると手を払いのける。
「ラル。貸せって」再び取ろうとするとまた手を払うので、無理やり取り上げると、震える手で取り戻そうと手を伸ばす。
「こんなに痩せてるなんて……」上着の上から掴んだときと脱いだときの差に驚き、腫れあがっているアザに塗っていく。
一通り塗っていくと「背中を見せてみろ」シャツの裾をつかむ。
「自分で、やる」
「見えないし手が届かないだろう。持ち上げられるところまで上げろ」
「自分で、やる」
「いいから」シャツを持ち上げると、背中にもアザがいくつもできていた。
「……痛かったら……言えよ……」一つずつ丁寧に薬を塗り、シップを貼っていく。
腫れあがったアザもそうだが、思った以上に痩せた背中が、ショウにはかなりのショックだった。




