表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
430/724

51-3 すれ違いの真相

 

 通路を右へ曲がろうとしたとき、脚がもつれて転んでしまうと、カラカラカラ。転んだ拍子に、ポケットに入っていた細長い箱が落ちて転がる。


「大丈夫か!」駆け寄るショウが「あれは?」プレゼント用なのか、きれいにラッピングされている。


 ラルは四つん()いになって箱を取ると、ポケットにしまう。


「ラル、それは?」

「なんでもない!」

「誰かに渡すプレゼントか?」


「なんでもない!」四つん()いのまま角を曲がると、壁に手をついて立ち上がる。


「立つな!」

「命令しないでって言ってるでしょう!」

「いいから言うことを聞け!」


 無視して歩きだすとバランスを崩して前のめりに転び、再び箱がポケットから落ちる。


 ショウが拾おうとすると「ダメ!」止めるラルがまた()っていって箱を取ると、ポケットに入れる。


「べつに取ったりしない」


 またラルが立ち上がろうとするので「やめろって! その脚じゃ部屋まで持たない!」


「ホッといて!」歯を食いしばって立ち上がるが、結局、数分も持たずに座り込んでしまう。

「無理だと言っただろう」


「……痛い……」擦る右脚の具合を見ると「大分熱を持ってるな。もう動かすな」

「……なんで、私には、命令口調なの?」

「……」


「しょうが、ないのか。私がそう、仕向け、ちゃったんだ、もんね」

「……ラル」


「痛みが、引くまで、ここに、居るから、先に、行って」

「何言ってんだ。早く手当てしないといけないだろう」

「……ホッといて、いいから」


「まったく、さっきからホッとけとか構うなとか言いやがって」ラルを抱き上げると「降ろして!」

「黙ってろ!」


「……なんで、そんなこと、言われないと、いけないの!」

「いいから黙ってろ!」

「……」


「話の続きは部屋に戻ってからだ。ここだと誰かに聞かれてしまうだろう」



 ラルの部屋に入るとベッドに座らせる。


「なんだ、この薬の山は」


 ベッド脇にあるサイドテーブルに、山のような湿布薬と多種多様の塗り薬ぎっしりと並んでいた。


 ラルはポケットから薬を取り出すとまとめて飲み、靴を脱いで向かいの椅子に足を乗せると、ズボンの裾を上げてプロテクターを外す。


「俺がやる」手を出すと「自分でやる!」手を振り払い、包帯を取っていく。


 ラルの涙がその包帯を濡らしていくと「いいから、脚をこっちに降ろせ」

「触らないで!」


 一瞬手を止めるが、ラルの手から包帯を取ると、脚を椅子から降ろす。


「自分でやる!」


「これくらいやらせてくれ」ラルの前にしゃがむと包帯を取っていく。「俺のせいで、こんなケガを、させてしまったんだ」


「自分でやるからいい!」


「いいから動くな!」包帯を取りおわると「このアザ……」足首にも手首と同じアザが付いているのでラルと見ると、ソッポを向く。


 左足の靴下を脱がすと、そこにも同じアザが付いているので「どういう扱いをされたんだ?」と聞くが、答えない。


「まるで、地下牢にでも閉じ込められてたみたいだぞ」

「……」

「そうなのか?」

「……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ