44 夜会議
『彼について、何か掴めまして?』会議を始めるウィルシー。
食後、ミランドは恒例の会議のために湖へ来ていた。
エミアと三人で話し合う。
『少しだけ。最近、何か考えごとをしてるらしいの』ミランドがスタンドのおばちゃんから聞いたことを話し『ティータイムのとき、それとなく様子を見に行ったんだけど、確かにおかしかった』
『まあ、見つかりませんでした?』
『変装してったから大丈夫よ』
『ああ、あなたは外見を変えることができるんでしたわね』
『ところが、今回はそれができなかったの。ラルがいないから、他の人に変身したらラルに戻れなくなってしまうのよ。だから、髪型と服装を変えて、眼鏡を掛けていったの』
『それで、他に何か掴めた?』エミアが確認すると『いいえ。言われたこと以上はわからなかった。だから、アディに、それとなく、聞いてみたんだけど……』
『なんて危険なことをなさるの!』
『……迂闊だった』
『大丈夫だったの?』心配そうに聞くエミアに『なんとか。彼って本当に怖い人ね。ただ答えただけなのに、どんどん隠してたことを見抜いていくんだもの』
『彼を甘く見てはいけませんわ。ラルと代わったこと、気付かれませんでした?』
『まだ大丈夫だと思うけど……薄々妙だと感じてるみたい。今日もラルが二人いる錯覚をすると言われたの』
『バレかけてるじゃないの! もう、余計な行動しちゃダメよ!』
『私も、途中からやばいと思いはじめた』
『とにかく、彼だけは絶対に気を付けてよ。見破られでもしたら、ラルが戻れなくなってしまうんだから』
『もう二度としないわよ。今回のことで懲りたもの』
『これから用心しないといけませんわ。ミランドが聞いたことで、彼はきっと探りを入れてきますもの』
『そうね。焦ってたから、本当にマズいことをしたと思ってる』
『それで、当の彼はどうだったの?』エミアが核心を聞くと『ダメ。アディが聞いてくれたみたいなんだけど、彼も大したことじゃないと答えたそうよ』
『何が起きたのかしら? その事は本人に聞かないとわからないわね』困った顔をするエミア。
『仕事関係のことですかしら?』
『まったくわからない』お手上げのミランド。
『今は、向こうの動きに注意することしかできないわね』エミアがミランドを見ると『そうね』と頷く。
『とにかく、慎重に行動してくださいね。これ以上ラルに負担が掛からないように、気を付けてください』ウィルシーが注意する。




