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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
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42-3 ズレる気持ち

 

 それから数日後の夜。

 恒例の湖会議。


『ラルの体調が心配だわ』

 彼女と代わるたび、この会議が開かれていた。


『例の彼はどうしてるの? 相変わらず声を掛けてくるの?』とエミアに聞かれ『時々ね。なぜお茶に拘るのかわからない』首を(かし)げるミランド。


『わたくしは、ラルの行動の変化になぜ疑問を持たないのか、そちらのほうが気になりますわ』考えるウィルシーに『そうよね』エミアも同意する。


『鈍感なだけなんじゃないの』言い返すミランド。『髪型を変えたり新しい服を着ても、全然気付かない男って珍しくないでしょう?』


『でも、彼がそのような(たぐい)の殿方とは思えませんわ』

『なんで?』


『この前、化粧っけがないとか、いつも同じような服を着ているとか、もっとオシャレしろとか言われたんですよね?』


『そうよ。そんなこと言うんだったら、当然、ラルの行動の変化にも気付いてるはずよ』頷くエミア。

『理由の一つとして考えられるのは、変化してもおかしくないと思っている、ということですわね』


『そんなこと、あり得るかしら?』考えるミランドに『自己暗示を掛けて彼女は変わったわ。考えられないことじゃないわね。ミランドはラルと会って日が浅いから、わからなくて当然よ』


『すると、変わった性格が以前と違う行動を取ってると思ってる、ということね?』

『そうでしょうね』


『ところで、嫌がらせのほうはどうなってますの?』

『今のところ、前みたいに面と向かって言われることはないわね』

『でも、小さなことはあるの?』怪訝そうなエミア。

『動きを監視されてるのは続いてる』苦笑するミランド。


 今はミランドが監視されていることになる。


『彼はまだ、この事をご存じないんですよね?』

『そうよ』


『先頭に立ってる子がアイドル的存在なのがネックね』まったくという顔をするエミアが『うまい手を考えるものね。自分に熱を上げてる男を操るなんて。操られてる男もバカよね。利用されてるとわかってるかもしれないけど、それでも言いなりになるんだから』


『本人が良ければいいのではありませんか?』冷めた言い方をするウィルシー。


『傍から見てると滑稽(こっけい)よ』とミランドが言うので『そうでしょうね』頷くエミアが『それで、最近の彼の行動は、なにか変化あった?』


『それが、噂を耳にしたんだけど、どうやらナディアたちと距離を取りだしたらしいの』


『それはいけませんわ。もし彼が取り巻きの女性たちともっと距離を置きはじめたら、彼女たちはラルのせいだと思ってしまいますわ。そうなると、ラルにもっとひどいことを仕掛けてくる可能性がありますもの』


『なぜ彼が急に距離を置くようになったのか、その理由を調べないといけないわね』

『そこのところを調べる方法はありませんの?』


『そうね……』考えるミランドにエミアが『ラウンジのカウンターにいるおばさんなら、何か知ってるかもしれないわよ』と言うと『おばさんは彼にいい感情を持ってないから……』


『でも、ラルのために見てくれてるかもしれないわよ』

『そうね。聞いてみる』


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