41-2 カイのお見舞い
「その目的は、本部の場所ね?」
「それしか考えられないだろう?」
「で、代わりの情報部員は行かせたの?」
「それはアディに言ってあるから、もう誰かを派遣したと思うぜ」
「ジットの娘さんたちは調べたの?」
「もちろん。起点となってる村に戻る前に、盗聴器類が付けられてないか、彼女たちの髪から服から持ち物まで全部調べて、着てた服はその場で別の服に着替えてもらって、焼却した」
「大変だったわね。お疲れ様でした」
「こんなこともあるさ」
話を聞き終ると、検査の時間だと看護師さんが呼びにきたので席を立ち、その足で会議室にいるアディを訪ねた。
「ちょっといいかしら?」
「ああ、大丈夫だよ」テーブルに広げていた資料をどかしながら椅子を勧めるので「すぐ済むからそのままでいいわよ」彼の手を止め「今、カイのところへ行ってきたの」
「そうなんだ。そういえば、僕も顔をだしに行かないといけないな。退屈してだんじゃないか?」
「話し相手がいないと駄々をこねてたわ」
「フフッ、そうなんだ」
「カイから白亜の要塞へ行ったときの話を聞いたんだけど、情報部員たちの面が向うにバレてたんですってね」
「ああ、それは聞いたよ」
「じゃあ、対応策は考えてるのね?」
「もちろん。これがその資料」テーブルの上を指し「これから情報部員をいくつかのチームに分けて、エリアごとにリーダーに監視させようと考えてるんだ。他の場所も同じ可能性が出てきたからね」
「そうなの。よかった。そこのところがどうなってるのか知りたかったの」
「他のところの情報部員に確認を取ったら、そういう兆候は見受けられないと返事がきたけど、油断はできないからね」
「そうね。じゃあ私は戻るわ。仕事の邪魔をしてごめんなさい」
「いいよ。これからも気付いたことがあったら、いつでも教えてよ」
「わかった」
会議室から出ると自分の部屋に戻った。




