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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
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39-2 危険な目

 

 その日の夜の湖会議。

 いつもの三名が会議場に集まっていた。


『事態は全然変わってなかった』報告するミランド。

『ラルが前の任務から戻って一ヶ月以上経ってるのに?』呆れるエミア。

『それは困りましたわね』ため息を吐くウィルシー。


『彼のことは(はぶ)いて、先のことを考えましょう』ミランドが提案すると『それはできませんわ。彼がラルの傍にいるかぎり、彼のことを考慮していかないとラルに負担が掛かってしまいますもの』


『そうよ。彼はラルとコンビを解消したと思ってないんだから』エミアもウィルシーの意見に同意する。


『じゃあ、解消する方向へ向ければいいじゃないの』

『どうやって?』

『ここから出ればいいのよ』


『それは賛成できませんわ。ここ以外に情報が取れて、身の安全を確保できるところは他にありませんもの。第一に、療養所にいるシンシアやほかの方たちを置いていくなど、ラルは絶対にしませんわ』


『出るほうがいいか残るほうがいいか。メリットを考えれば、残るほうが、任務がスムーズにこなせるわよ』と言うエミアに『でも、ラル個人のことだけを見たら、ここは危険な所よ』


『その点はわたくしたちがバックアップすれはよいのではありませんか? いつまでも当てにならない人のことを考えても、時間の無駄ですもの』


『そうね。そうよね。こだわり過ぎてたわ』


『ミランドは、まだ彼にラルの傍にいてほしいと思ってるんでしょう?』エミアが聞くと答えないので、彼女の変化に、エミアたちは事態が深刻なほうへ進んでいることを悟った。



 ラルは一週間後に戻ってきた。


『無事でよかった』ホッとする三名。

「心配かけてごめんね」湖の(ほとり)に座って話す。


『助け出したメンバーの方はどうなりましたの?』

「途中で、グループから派遣されたメンバーに引き渡した」

『そうでしたの。ああ、ここに連れてくるわけにいきませんものね』


『大分疲れてるように見えるけど大丈夫? 当分の間、ここで休んだら?』エミアが引き止めると「ありがとう。でも、自分のベッドでゆっくり寝たいから」



 数日たったある日の夜、ラルは仕事が一段落ついたのでラウンジへお茶を飲みにいくと、休憩時間でもないのに、お茶を飲みにきているショウたちが奥にいた。


 ラルは気付かないフリをしていつもの吹き抜け側のボックス席に座り、持ってきた資料に目を通しはじめると、向うではラルのことに気付いたらしく、数名の女性がヒソヒソと話をしている。


 気にせず資料を読み終えて顔を上げると、ショウからこちらが見えないように、彼を脇にある観葉植物の陰に移動させていた。


 こうすれば、誰かが動いても彼の視界にラルが映らない。


 前回、自分たちの目の届かない時間にラルがショウと会っていたことが、彼女たちの警戒心に拍車をかけたらしく、前以上にラルの行動に神経を尖らせているのがわかる。


「気分のいいものじゃないわね」


 この後、ラルは数回グループからの指示で本部を抜け出していたが、ショウがこの事に気付くことはなかった。


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