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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
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38-2 ゆがむ関係


 通路を歩いていくと「どこから彼女たちが来るかわからないから、隠れて様子を見たほうがいいわね」


 近くの部屋に入って様子を伺う。


「そういえば、ショウが追い掛けてくるんじゃないかと思ったけど」耳をそばだてるが足音はしない。「まあ、今はなるべく顔を合わせないほうがいいから、来ないほうがいいのか」


 バンダナで隠している額についたチップを見られでもしたら、ケッドマンの一件がバレてしまう恐れがある。

 アイスマットは、バンダナをしている理由を聞かれたときの言い訳ように、額に付けておいたのだ。


「急いで食べたとき、胸の痛みを我慢したから、ひどくなってきた」手で押さえると、ナディアの声が聞こえてきた。


「見回りに出ててよかったわ。まったく、油断も隙もないわね」

「きっと、仕事をしてるショウ様を呼び出したのよ! パートナーだからって、振りまわすなんてひどい!」


「ちょっと、言いたいこと言ってくれるじゃないの。いつ私がそんなことしたのよ」腹が立ってくるが「隠れて正解だったわね。あのまま行ってたら鉢合わせになって、決闘を申し込まれてたわ」


 そうなったら、当然ラルが勝つ。


「今の状態だったら手加減できないし、向うにケガでもさせたら面倒だし、さらに、彼女たちの闘争本能に火を注ぐ結果になるものね」フウとため息を吐き「どのみち、私が気を遣わないといけないのか」


 ラルはそっとドアの隙間から通路の様子を伺い、出ても大丈夫なことを確認すると、できるだけ早く部屋へ戻った。



 それから数週間、またショウに話し掛けられたら困るので、定期的に彼らの前に姿を現し、ケガは完全に治ったのだと振る舞った。


 この頃になると姿も人間に変化できるようになっていたが、深手を負った胸と腕の傷は、まだ完治していなかったので時々痛みが走る。


「もうしばらく掛かりそうね」


 しかし、時の流れは傷の完治を待ってくれなかった。


 グループからメンバーの一名が捕まったと連絡が入り、救出してほしいと要請が来たのである。

 捕まったメンバーが有力な情報を掴んだと報告してきたため、早急に対応してほしいとのことだった。


「行くしかないわね」


 送られてきた幽閉先と、その領主に関する資料を読むとリサーチルームへ向かい、作戦を練る。

 一方ショウは、相変わらずナディアたちに囲まれた生活を送っていた。


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