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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
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34-1 現状の把握

 

 ラルがケッドマンの屋敷へ向かって十日が過ぎたが、作戦は延び延びになっていた。


 ミランドは、エミアたちが調べてくれている大陸の情報をラルが作っていたリストに入力していき、それを基に、リサーチルームで分析を日々行っている。


『組織の調査員が集めた情報とエミアたちが調べてくれたことを合わせて分析できるようになったから、前より格段に領主たちの動きがわかるようになったことは、大きなメリットよね』


 ここでわかったことをグループに定期連絡として送り、グループは、この情報も加味して、次の計画の見直しを行っている。


 そして、療養所にも顔を出していたが、それは二・三日おきになっていた。


 改善しなければならない箇所はすぐに改築が行われ、彼ら一人一人のケアもプログラムが組まれ、それぞれに担当医が付いているので、今は様子を見に行くだけになっていたからだ。


『彼女はどうしたんですか?』だいぶ体調が良くなってきた二十代の女性の一人が聞いてくる。


 さすがに、彼女たちの目を誤魔化すことはできない。

 一目で身代わりだということを見破られてしまっていた。


『ラルは今、キラの任務で出かけているの。だから、戻ってくるまで私が身代わりなのよ』


『そうなんですか……』やはり不安になるのだろう。表情が暗くなるので『ここであなたたちがまた体調を崩してしまうと、本末転倒になってしまう。あなたたちは、この大陸から出てグループの療養所へ移動しなければならないんだから、ラルを信じて気持ちを強く持ってね』


『そうですよね。彼女に心配をかけてはいけないですね』


 一方、アディのほうは、領主たちの警戒が厳しくなってきたために情報が取りづらくなったようで、他の方法を模索(もさく)するため、スタンやテッドたちと夜遅くまで話し合いを行っている。


 そして、ミランドは仕事をこなしつつ、それとなくショウの行動をチェックしていた。


 確かに彼は一定の時間、リサーチルームに閉じこもって何やら調べものをしているらしいが、ミランドも日々の仕事が忙しいのですれ違うことが多く、なんとかショウと話をしたいと思っているのだが、驚くほどその時間がない。


 それは、仕事以外のほとんどの時間、ショウがナディアたちと一緒にいるからだ。


『ここまで顔を合わせないのに、ラルのことが気にならないのかしら?』


 仕事している時間ならばと思い、頃合いを見計らって声を掛けようとするのだが、ショウは必ず誰かと一緒で、話し掛けようとすると、一緒にいる人が邪魔をして、まともに話すことができない。


『彼はラルのことをどう思ってるのかしら?』わからなくなってきたミランド。


 彼女はショウを信じたいのだが、日が経つにつれて、気持ちが失望の方向へ向かってきていた。


 その三日後の真夜中、数名のイータル ヴェンティが黒い(かたまり)を湖の(ほとり)へ運んできた。




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