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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第一章 保護活動
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21-4 同行

 

 しばらくの間、沈黙が続いたあと「どこ行きの船に乗るんだ?」

 しかしキラは答えない。


「時間は?」

「お願いだから、これ以上負担を掛けるのはやめて!」初めて余裕のない顔を見せるので「一人で大丈夫か?」

「アッ」我に返って表情を戻すと、再び外を見る。


「少しは、お前の力になってやれると思う」

「何言ってるのよ。さっき、私のことなんかどうでもいいようなこと言ってたじゃないの」


「ああいうふうに言わせたのはお前だろう」

「じゃあ、本当は、私に興味があるとでもいうの?」


「あるね」

「エッ!」


「お前がどういう人物なのか。隠してることは何なのか、大いに興味がある」

「……話す気ないわよ」

「……わかってる」


 少しすると、ブルースの生演奏が始まった。

 ブルーのきれいなドレスを着た女性が出てきて、独特のハスキーボイスで甘い恋の歌を歌いはじめる。


 数曲が過ぎたとき「ブルースは好きだけど、恋の歌は嫌いだわ」

「なぜ?」


「私が、恋するタイプに見える?」

「今の性格を少し直せば、結構いけると思うけど」


「あら、そう?」

「ああ」


 この後二人は、数杯のお酒を飲んだ。


 一時間後に生演奏が終わると、店内はザワザワと人の声の波が支配しはじめる。


「どうした? 泣きそうな顔してるぞ」

「何でもないわ。ちょっと、嫌なことを、思い出しただけ」視線を逸らして外を見る。


「泣きたいときは、我慢しないほうがいいぞ」少し間をあけ「明日は、何時の船に乗るんだ?」

「……午前十時二十分発の船よ」


「行き先は?」

「それは……」


「行き先はどこなんだ?」

「……サウスアーネット」


「亜熱帯のリゾート地か。チェックアウトは?」

「……十時には、出ようと思ってる」

「わかった」


 キラのグラスが空いているのに気付くと「もう少し飲むか?」

「いえ、いいわ。ちょっと、飲み過ぎたみたい」


「部屋に戻るか?」

「……ええ」立ち上がるキラがよろける。


「オイ! 大丈夫か?」慌てて支えると「参ったわ。これくらいで酔うなんて」

「疲れてるんだ」


 少しふらつきながらラウンジを出て、エレベーターホールに行くと壁に寄り掛かる。


「大丈夫か?」

「……ちょっと、きつい」


「座ってたほうがいいんじゃないか?」

「……大丈夫」

「無理しないほうがいいぞ」


 そこへエレベーターが来た。


「歩けるか?」

 支えながら乗ると「女の酔っ払いなんて、みっともないわね」

「しゃべるな」


 目的の階に着いてエレベーターから降りると、キラの部屋の前までいく。


「ここで、いい」

「ベッドまで行けるか?」


()ってでも、行く」

「無理するなよ」

「……大丈夫」


 彼女が部屋に入り、鍵を閉める音を聞くと、ショウも自分の部屋へ入った。


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