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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
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30-1 微妙になっていくそれぞれの関係

 

 そして午前十時になると、賑やかな声が通路から聞こえてきた。

 その声がラウンジに入ってくると、奥に設けられている二十人が座れるテーブルに向かう。


 もちろん、その声の主はナディアたち。


 吹き抜け側のボックス席に座っているラルは、驚きの目でその一団を見ていた。

 なぜなら、その一団がショウを中心に動いているからだ。


「室内に発生する台風ってところかしら」台風の目はショウである。


 その彼がこちらに気付くかと思いきや、ラルの位置からショウの姿が見えなくなっていた。

 ナディアたちが先にラルの存在に気付き、ショウの視界にラルが入らないよう、壁を作っていたからだ。


「徹底してるわね」ラルはため息を吐くと、もめ事を起こして無駄に時間を潰されたくないたので、あえて気づかないフリをして資料作成を進めることにした。


 それから三十分後、壁を作っていた女性の一人が席を立ったとき、ショウの視界にラルの姿が写るとすぐ席を立ち、彼女のところへ行くと「足らない資料はあるか?」と声を掛けて向かいに座る。


「エッ? ああ、ありがとう。今、次の講習に使う資料に落とし込んでるところよ」

「そうか。で、彼らの様子はどうだ?」

「やっとリラックスできるようになってきた、といったところね」


「お前がここに居るのを知って安心したんだろう」

「そうかしら」

「お前以上の味方はいないだろう?」そう言われてラルは笑った。


「今日は何時に向うへ行くんだ?」

「午後からになるわね。午前中にこの資料を作り終えたいから」


「俺は昼食を取ってから行く。あとで設備に問題がないかチェックしよう」

「そうね」


「外の調査はどうなってる?」

「雨が止むまで当分延期よ」

「ああ、そうだな」


 ショウはそのまま、ラルと一緒にお茶を飲みながら資料を作っていった。



 そして午後一時過ぎ、療養所の会議室に二人の姿があった。


「俺が見回って気付いたことはここに書きだしてある」メモを出すので、ラルはメモに書かれていることと自分が書きだした項目を見比べ「大体同じようなところにチェックが入ってるわね」


「そうか。まとめたらここの責任者に渡すようアディから言われてる」

「かしこまりました」ショウのメモに書き足していくと「アディはほかに何か言ってた?」


「PFSの担当は、みんなすぐに保護されてきた彼らと打ち解けられるのか? と聞いてきた」

「どう答えたの?」

「個人差がある」


「曖昧だけど、それ以上追及されない答えね」

「だろう?」

「その言い方からいくと、聞かれることを予測してたの?」

「わかった?」


「まあね。ウソを吐くのが上手くなってきたわね」

「褒められないことだな」

「まあ、時と場合で必要になるでしょう?」

「確かに」


 会議室から出ると、隣の事務所へいって責任者に会った。


「気付いた箇所はここに書いておきました」ラルがメモを渡すと「ありがとうございます」


 ここの責任者は三十代前半の女性で、キャリアウーマンのしっかりした人だった。


「早速作業に取り掛かるわ」呼び出しボタンを押して入ってきた秘書にメモを渡し、手配するように指示をだす。


 その後、彼らのケアに関する打ち合わせを済ますと、ラルとショウは本館へ戻った。


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