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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
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29-2 すれ違っていく関係

 

 最初は、仲間を助けだしたら直接王国へ送ればいいと考えていた。


 しかし、この大陸の空間が歪みはじめている影響で、この地から王国への入り口が開きにくくなってしまったとグループから報告が来ていた。

 そうなると、向かいの大陸に渡ってから王国へ連れていく方法しかない。


 ここで問題が出てきた。助けだした仲間をすぐに移動させられないということだ。

 彼らは全員健康体ではない。しかも、その半分くらいが何かしらの病気に掛かっている。


 そんな状態での長距離移動は、死を意味する。


 この大陸にPFSの支局はない。そうなると、それに代わるものを作らなければならない。


 ラルは、この本部をその代わりにできないかと考え、密かに調査しているのだ。

 そのため、アディから療養所内をチェックしてほしいと言われたときは、喜んで引き受けた。


 そして順調に事が運び、少しずつ環境が整ってきたころ、手持ちの資料が足らなくなってきたので、ショウにPFSから資料を取り寄せてもらおうと思ったのだが、なかなか話せる機会がなかった。


 ナディアたちが四六時中ショウの傍にいるからだ。

 そうなると、当然、別行動するようになる。


 そんな二人の行動に気付いたアディが、リサーチルームにいるラルに声を掛けてきた。


「ナディアたちが何かしてきたのか?」

「アディ」

「このところ、ショウと一緒にいるところを見掛けないし、君の後を付けてる女性たちを何回か見掛けたから」


「彼女たちはショウの取り巻き。仕事のパートナーの私は彼女たちの天敵なんですって」

「天敵?」

「ショウを独り占めしないでくれと言われたわ」


「独り占めね」クスクス笑うので「笑い事じゃないわよ。これじゃ仕事に支障がでるわ。現に、PFSから取り寄せてほしい資料を頼めないんだもの」困った顔をするとアディは笑いを引っ込めて「そこまでひどいのか。僕からもナディアに注意しとくよ。資料のことは彼に直接言っておくから」


「ナディアがあなたの言うことを聞いてくれると嬉しいんだけど」

「仕事が第一だからね。君たちの戦力を失うことは、避けなければならないことだ」


 しかし、恋のパワーを妨げるものはこの世に存在しないらしい。一向に収まる気配がなかった。



 二日後の朝、ラルのノートPCにショウから添付資料つきのメールが来ていた。

「何かしら?」

 メールを開けると、


 ラルへ

 ご要望の資料、全部取り寄せておいた。

 他に欲しい資料があったら言ってくれ。

                     ショウ


「これは、これは、ご丁寧におありがとうございます」


 ラルはノートPCを持つと部屋から出てラウンジへ行き、お茶を飲みながら、添付資料の内容に目を通しはじめた。



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