27-1 調査内容のすり合わせ
ラルはお茶を飲み終えると、先に部屋へ戻った。
テーブルに座ってPCの電源を入れると、近くの湖にフロス アクアエのウィルシーが来ていて、組織の本部がある森を操っていることや、エミアたちイータル ヴェンティが、以前から大陸の空間の歪みについて調査を進めていることをグループに報告するため、調査資料を作成しはじめる。
「地下水脈のことを誰も知らなかったなんて、迂闊だったな。ウィルシーに場所も聞いといてよかった」
それから三日後、エミアが予告していたとおりに雨が降ってきた。
「これで湖の渇水も心配ないな」ラルの部屋に来ているショウが、PCに映る天気予報を見ている。
療養所で治療を受けている彼らのケアに関する資料作りが、最終段階にきていた。
「建物の中に閉じ込められるのはイヤだけど、土砂降りの雨の中、外に出るのも大変だものね」ラルが資料をチェックしながら文句を言うと「そのくらい我慢できないのか?」と呆れ顔。
「缶詰め状態はイヤなのよ」
「そんなことまでワガママ言ってもしょうがないだろう。雨が降らなければ後々困るんだから」
「わかってるわよ」
最終調整後に資料が出来上がると、お茶を入れなおすショウが「どのくらいこの周りを調べたんだ」カップを渡しながら聞いてくる。
「えっ、何?」
「彼らの療養施設に行けるようになるまでの間、毎日調べに外へ行ってたんだろう?」
「……まあね」
「で、どうだった? 何か変わったことはあったか?」
「特別には。確かに変わった地形だけど、今のところ目新しいことはないわ」
「何か隠してないか?」
「エッ?」いきなり聞かれて少し面食らってしまったので「やっぱり。わかったことがあるんだろう? なぜ隠す」
「何を?」
「惚けるな。話せよ」
「ちょっと、その言い方は気に入らないわね。私は毎日外へ調べに行ってるのに、ショウはあの子とイチャついて、何もしてないじゃないの」
「イチャついてなんかない! 彼女から内部のことを聞きいてたんだ」
「そんなことアディに聞けばいいじゃない。何ウソ言ってるのよ」
「ウソじゃない。アディに聞けば、こっちが隠してることを交換条件で、と言われるのはわかりきってるだろう。だから彼女に聞いてたんじゃないか」
「確かにそうだけど。じゃあ、彼女から何を聞きだしたの?」
「建物内部をほとんど回ってきた」
「本当! 入れないところだってあったでしょう?」
「さすがに全部は回れなかったけど、彼女はここではアイドル的存在だから、彼女から頼んでもらえば、大抵のところは入れると踏んだんだ」
「なるほど、うまい手を考えたわね。で、どうだった?」
「思ってたより設備が整ってた。大型コンピュータも動力炉も、かなりいいものが揃ってる。防犯設備から逃走用の経路、武器、装甲車、すべて整いつつあった」




