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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
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25-4 マーガの森に起こる異変の原因

 

 彼女は近くに降りてくると『久しぶりね、ラル』声を掛けてくる。


 彼女はイータル ヴェンティ(風の精霊)の女王。


「あなたまで来てたなんて。アッ、もしかして、アディたちをここに来るよう仕向けたのはあなた?」

『そうよ」

「もう、二人とも来てたのなら、もっと早く教えてくれればいいのに」


『あなたの状態があまり良くないと彼女たちから聞いてたから、黙ってたのよ。元気になってからと思ってたら、その後、ここへ来ると聞いたので、来るまで待ってたの』説明して、横にいるアウラ リートレとアウラ マリスを見る。


「あなたまで来てるということは、空間の歪みが本格化してきてるということね?」


『そうね。最初は数か所で歪みの予兆が発生してたんだけど、今ではその歪みが繋がって大きくなりつつあるの。まだ規模としては小さいけど、このまま進んでいけば、大災害につながる可能性があるのよ』


「その事には気付いてた。でも、私たちは地上からしか確認することができなかったから、具体的な状態を把握することが難しかったの。今はそんな状態なのね」


『この現象を止めるには発生元を突き止めなければならないから、情報収集のために調べてるんだけど、まるでこちらの動きを見てるかのように、空間の歪みが移動するのよ』


「歪みが移動する? どういうこと?」


『言葉のとおりよ。最初は大陸の東側の歪みがひどかったので、発生源を調べようとしたら今度は南へ移動して、今は西のほうへ行ってるわよ』


「……わざと移動してる? もしかして、罠? でも、誰の? 領主たち?」


『私たちの動きを見ることができるのは、と考えると結構絞られるけど、それは人間ではないからね』


「私たち側の誰かが加担してる可能性が出てきた。いえ、前からその可能性があることは指摘されてるから、予測から確実へ近づきつつあるということね」


『まだ結論を出すのは早いわよ。何も証拠がないんだから』

「まあね。何かわかったら教えて。ところで、雨のことなんだけど」


『このところ雨が降ってなかったから、森が困ってるのよ』エミアが周りの木々を見ると、水分が足らなくて葉っぱがしなっている。


「そう言われてみれば、湖の水位も大分低いわね」

『わたくしも困っていましたの。ですから、エミアに雨雲を運んできていただけるように、お願いしましたのよ』


『大きい雨雲を運んできて、風の通路を広げないといけないから探してたんだけど、この前、ちょうどいい雨雲を見付けてね。この大陸の東半分を覆うことができるし、雨量も十分よ』


「そんな大雨が降るなら、土が乾いてるから注意するように、ということね?」足元の土を触るとボロボロと崩れる。


『車が出入りする崖の前付近の土が、中へ流れ込む恐れがあるのよ』すでに調査済らしく、エミアがピンポイントで指摘するの「そうなの。注意するよう言っておく。で、いつから降るの?」


『そうね……三日後くらいになるわね』

「わかった。戻ったら対応してもらう」


『では、雨が止んだら会いましょう』と言うエミアの体が宙に浮く。


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