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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
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25-1 マーガの森に起こる異変の原因

 

 部屋に戻ったラルが頭を抱えて椅子に座り込むので「どうした?」声を掛けると「イヤになってくるのよ! なんで私が人間の立場でものを言わないといけないの!」


「……仕方ないだろう。正体をバラすわけにいかないんだから」


「そんなことくらいわかってるわよ! でも、悔しいのよ! あそこまで私たちのことを理解してなかったなんて。狩りが始まってこんなにも長い年月が経っているのに。大声で怒鳴りつけてやりたいわ!」


「……アディなら、きっと大きく変えてくれる」


「ショウの言いたいことはわかってる。遅くても理解してくれる人間が現れたんだから、今までのことを蒸し返すより、これからのことを考えろって言うんでしょう?」


「今はな」

「今は?」


「犯してしまった罪は何れ(つぐな)わなければならない。しかし、それよりも先に、罪を犯してしまったんだと認めさせなければならない」


「……そうね」

「辛いと思うが、辛抱してくれ」

「……本当に辛いわ」

「ラル……」


「さて、気分直しに散歩でもしてくる。いつまでも引きずってるわけにいかないものね」席を立つので「俺はラウンジにいる。戻ってきたらお茶でも飲みに来るといい」



 ラルは一人で本部から出ると、暗い通路を通って崖の割れ目から外へでた。

 車の出入り口とは別に、細い道が何本か外へ通じている。


 ここへきて一週間が過ぎたとき、本部の周辺を調査したかったので、外へ行きたいとテッドに伝えたら、その道を教えてくれたのだ。


 その時彼が、どうしてアディが崖の割れ目の奥に本部を造ったのか、その理由も細かく教えてくれた。


「ここら辺一帯は、湖が近くにあるのでよく霧が発生するんですよ。それと、ここは森の中心地に近くて、他の人が足を踏み入れることがないんです」優等生の彼らしく、わかりやすく説明を始める。


「そうとは言い切れないでしょう? 好奇心で探検する人がいるんじゃないの?」


「それが、僕たちがここを調べはじめてから、他の人が入ってきたことがないんです。その事は科学的に解明されていないのでハッキリと理由は言えないんですが、何かの力が働いていて、人をここへ近付けないらしいんです」


「それなのに、私たちは自由に出入りできる」

「そうなんです。自然が味方してくれているのかもしれませんね」

「自然がねえ」


「そういうことですので、僕はこの事の解明を任されたんですが、正直言って、まったくわからないんです」と苦笑する。


「地殻とか、自然現象がもたらすこととか、そこのところは調べたんでしょう? 何か変わったことは発見できなかったの?」


「先ほどお話ししたとおり、よく霧が発生することはわかりましたが、それは、侵入を完全に防ぐものではありませんでした。地殻はこれといって特別な断層は発見されていませんし、土壌にも変わった物は含まれていませんでした」


「専門に調べてるテッドがわからないんだもの、素人の私にはまるで見当が付かないわ」

「散歩に出られたとき、何か変わったものを見付けたら教えてください」

「わかった」


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