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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
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24-1 仲間のケア


「近寄ろうとすると、彼女たちを取り巻いてる男性たちが邪魔して、訳を話しても信用できないの一点張りなのよ」


 彼女たちは部屋の真ん中にいて、男性たちが周りを取り囲んでいる。


「食事も決まった男性が味見したものしか食べなくて、しかも、少ししか食べてくれないの」

「中に入ってもいいですか?」

「彼らに近寄らないという条件をのんでくれれば、いいですよ」

「わかりました」


 ラルとショウが中に入ると、彼らは警戒した目付きになるが「部屋の中を見にきただけだから、心配しないで」ラルが声を掛けると彼らの表情が変わるので、ショウが担当医に見えないようにまた指を一本口の前に立てると、すぐ警戒する目付きに戻る。


「何か欲しいものはある?」部屋の中を一通り見まわした後に聞くと「横に、なりたい……」女性の一人が呟くのをかろうじて聞きとめる。


「ベッドを運んでもらいましょうか?」

「布団でいいです。ベッドだと一緒にいられませんから」付き添っている男性の一人が答えるので「そうね。人数分の布団を持ってきてもらうわ。あとは?」


「安心して、食べられる、ものが、欲しいです」かなり瘦せてしまっている男性が、消え入るような声でしゃべる。

「あなたは点滴を打ってもらったほうがいいわ。私が付き添うから、大丈夫よ」

「……はい」


 ショウは、リクエストを聞くごとに部屋の外で待機している看護師たちに伝え、用意してもらった。


 まずは人数分の布団が運び込まれ、看護師たちの手を借りて女性二人が横になると、ホッと息を吐く。


 次に数種類の果物が運ばれてきた。

 食べやすいように皮が剥かれ、小さくカットされていて、テーブルが用意されるとその上に果物が乗ったお皿が置かれ、それぞれフォークを受け取ると食べはじめる。


 横になっている女性たちにも渡すと、最初はゆっくりと一口ずつ食べていたが、二つ目、三つ目になると食べる速度が速くなっていく。


 その後、栄養失調と判断された先ほどの男性含む数名が、その場で点滴を受ける。

「もう心配ないからゆっくり休んで。また時間を見計らって来るわね」声を掛けると部屋からでた。


 同じことを各部屋で行っていくと、やっとシンシアがいる部屋にたどり着く。


 通路側の窓から付き添いの看護師が見ているので冷静を装わなければならないが、それでも、無事な姿を見ることができて、自然と涙が出てくる。


「大丈夫だった?」

「やっと会えたね」

「元気そうでよかった。ちゃんと食事は取ってね」

「うん、ちゃんと食べる」

「これで、いつでも会いに来れる。早く体調を治してね」

「うん、頑張る」

「じゃあ、また来るから」


 部屋を出るとき、ミランドと握手をする。

「シンシアを頼むわね」

「大丈夫よ」


 その後、医務局から出てラルの部屋へ戻った。



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