20-1 事実は予想より奇なり
ワークセクション内の会議室で出迎えてくれたアディの顔は雲っていた。
「ケガは大丈夫か?」
「全身打撲でギシギシ言ってる」ぎこちなく動くカイ。
不意を突かれたダイビングだったので衝撃が強かったようだが、帰りの運転は一人で担当した。
「俺たちは全身青アザだらけだ」腕を見るタキに「とにかくお疲れ様。念のため、医務室に行って検査したほうがいい。タキ、あとで報告書を見せてくれ」
その後、医務室へ向かい、手当てしてもらうとそれぞれの部屋へ戻った。
この日の夜遅く、ラルが隣のショウの部屋へ、数枚の紙を持ってやってきた。
「どうした?」手を止めてノートPCから顔を上げると「体中筋肉痛なのに、熱心ね」
「覚えてるうちにまとめてるだけだ。それで、何かあったのか?」
「さっき、グループからメールが来たんだけど、添付資料に、ショウが私を疑って当然だということが書いてあったの」
「……どういう意味だ?」
「ショウが言ったとおり、あのお爺さんは私の仲間だったのよ」
「何だって?」
「そして、もう一人仲間がいたの」
「もう一人? 誰なんだ?」
「彼が飲みにきてたお店のマスター」
「エエッ! ウソだろう!」
「本当よ」持ってきた資料を渡し「ショウが推測したとおりだった。彼らは、消息不明になってる、最初にこの大陸に乗り込んできたキラのメンバーだった。そして、お爺さんだと思ってた森の中に住んでた彼は、お店のマスターの実の弟だそうよ」
「弟だって? ……変装、してたのか?」
「そう。彼らは一卵性双生児なんですって。先に弟のお爺さんが任務に失敗して敵に捕まり、その後、兄であるお店のマスターが潜り込んで弟を助けた。
だけど、運悪くその時の騒動で通信機が壊れてしまい、グループと連絡が取れなくなってしまったそうよ。
そして、逃げ込んだマウスセット村でケガを治してるとき、あの湖の古城に捕まった仲間が運ばれてきたことを知って、そこで彼らは作戦を立てた」
と言ったところで、空いている椅子に腰かける。
「外から情報を集める役と幽閉してる古城の動きを見張る役に分かれ、潜り込むチャンスを伺うことにした。
変装したのは、双子だとどうしても目立つから。マウスセット村へ行く前に変装したんですって。
お爺さんに変装したのは、歳をとってれば怪しまれないだろうと思ったから。
そこに今回、組織の代表として、私たちが来ると情報が入った」
「その情報の仕入れ先がオヤジさんだった」
「ええ。お店のマスターと仲が良いと言ってたものね」
「店のマスターは、オヤジさんが組織の情報部員だと感づいて接近したんだろうな」




