11-3 謎の警告場所
次の朝、午前七時半。
ラルは、またしても騒音に近い音で目が覚めた。
「ドアを壊したいの!」ベッドの中から叫ぶと「壊れる前に起きろ!」タキの声がする。
「壊したら弁償しなさいよ!」
「ドアがないほうが、うるさくなくていいんじゃないか?」
「……起きるわよ!」
タキの性格がだんだんわかってきた。
「毎朝これじゃ、たまんないわ」ダイニングの椅子に座って文句を言うと「何度ノックしても起きない奴を、毎朝起こす身になってみろ」言い返すタキの隣で妹のマチが「私が起こしに行ってるんですけど、ラルさんだけ起きてこられないので」と苦笑しながらお皿をテーブルに並べている。
「諦めてちょうだい」ラルの言葉にカイがため息を吐くので、タキが「こんな事が続いたら困る。今夜は早く寝ろ」
「早くって?」と言いつつ欠伸をするので「欠伸が出ない程度の時間だ」
「目覚まし持ってねえのかよ」
「それでも目が覚めないのよ」
食事が終わると、それぞれ別行動で寛ぐ。
昼間、妙な所でうろつくと目立つので、下調べは夜に行うことになっている。
タキはオヤジさんと果樹園に行き、カイはサナたちと一緒に家事の手伝いをしている。
ラルはまだ睡魔に取り付かれていたので部屋で寝なおし、ショウは村へ行っていろんな所を見て周っていた。
昼食は、庭にある大木の下でサナたちが用意してくれたサンドイッチをほおばり、その後、タキたちが各部屋で情報をまとめている間、ショウはラルに声を掛けて、家の裏手にある丘の斜面へ連れていく。
「何、話って」丘を登り切ったところで聞くと「お前、昨夜どこかへ行っただろう」
「昨夜?」
「午前二時過ぎだ。どこへ行った?」
「眠れなかったから、散歩に行ったわ」するとショウが首を横に振るので「ウソだという証拠は?」と聞くと「真夜中に三時間も散歩する奴がいるか?」
「……いいじゃない」
(いちいち時間を計らないでよ)
「あの、ブナの原生林の奥にある屋敷を調べに行ったんだろう?」
「あんな所まで行くわけないでしょう」
「何があった?」
「……」
「ラル!」
「……そうよ。調べに行ったわ。でも、辿り着けなかった」
「なぜ?」
「手に負えない機械があったの。モタモタしてたら『警告する。ここは私有地だ。これ以上の侵入は許さない』なんて聞こえてきて、泣く泣く戻ってきたの」
「単独行動するなと言ってあるだろう。もしタキたちの知るところとなったら、外されるぞ」
「……わかってるわよ」口を尖らすので「わかってるんだったら二度とするな!」




