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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
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10-1 任務の調査

 

 食後、オヤジさんに借りた馬車で、村の中を見て周ることになった。


「いい天気ね。でも、シミができたらイヤだわ」馬車の荷台に座るラルが、揺れながら帽子を深くかぶりなおすと「揺れるのは、当分の間、勘弁してほしかったんだけどな」ボヤくショウに「ジープよりはマシよ」と言いつつ腕に日焼け止めを塗る。


「しかし、こんなことして大丈夫か? 俺たちはなるべく目立たないほうがいいんだぞ」


「オヤジさんが言ったことを忘れたのかよ。俺たちは休暇を利用してここに来たんだぞ。それなのに、家の中に閉じこもってたら余計怪しまれるだろう?」手綱(たづな)を引くカイ。


「休暇中らしく振る舞うとしたら、最初は村内見物だと昨夜、夕飯のときに話し合ったんだ」カイの隣に座っているタキが説明するので「なるほど。俺たちはいなかったから、知らなくて当然か」


「そこんところ、頭に入れて行動してくれよ」

「かしこまりました、隊長」とラルが言うので「隊長はラルだろう? 誰も勝てねえんだから」


「どういう意味で、勝、て、な、い、と言ってるのかしら?」カイの耳元で聞くと「そ、そりゃあもう、行動力といい、頭の回転の早さといい、度胸といい、どれを取っても、リーダーになる素質があると思ったからだよ」


「まあ、そんなに褒めてくれるの?」


「もっちろん!」と言ったあとに「恐ろしいってのもあるんだけどさ」と呟くと「な、あ、に?」にこやかに言うが、ラルの腕はカイの首に回っている。


「なんでもありまっせーん!」


「カイ。頼むから、機嫌を損ねるようなことを言わないでくれ。あとが大変なんだぞ」

「ちょっと、それ、どういう意味?」ショウを睨むと「言った奴が墓穴掘ってどうする」冷たく言うタキ。


「まったく、あんたたちは女性の扱い方を全然知らないのね。紅一点なんだから、もっと大事にしなさい」


「こっちの扱い方を気にしてほしかったりして」カイが呟くと「誰の扱い方ですって?」再びカイの耳元で(ささや)くので「これから十分に注意したいと思いまーす!」


「お前に任せる」無責任なことを言うタキに「俺にだけ重荷を背負わせる気かよ!」

「お、も、に?」


「なんで俺だけ責めるんだよ! タキやショウだって言いたいこと言ってんじゃねえか!」

「だって、カイを揶揄(からか)うと面白いんだもの」と言われ、言葉を無くす。


 ようやく、自分がオモチャにされていることに気付いたらしい。


「気に入られたらしいな」内心ホッとしているタキ。

「すげえ複雑な心境」これから自分がどう扱われるのか、心配になってきたらしい。


「あら、かわいがってあげるわよ」カイの頭を撫でると固まるので、タキが「手綱さばきだけはしっかりしてくれ」

「こういう場合、俺たちが付いてるから大丈夫だ、とか言ってくれんじゃねえの?」

「相手が彼女でなければ言っただろう」


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