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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
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8-2 組織での救出作戦


「なぜ一緒にいないの?」

「俺たちのやってることは常に危険が付きまとうだろう? 妹を巻き込みたくないんだよ」

「そう。いいお兄さんね」


「他の家族はどうしてるんだ?」

「俺の家族は、妹一人だけだ」


「……タキは?」

「俺は一人だ。家族はいない」小声で言い返すので「何かに巻き込まれたのか?」


「……隣に住んでた家族の父親がシルバーフェニックスだったんだ。

 ある日、その父親が狩り人に見つかって、俺の家族が(かくま)って逃がそうとしたんだが、多勢に無勢で、父親以外、隠匿罪(いんとくざい)とかなんとか文句つけやがって……その場で、銃殺された。

 俺は仕事で家を離れてて、仕事先で連絡をもらって、戻ったときは、すでに全員棺桶の中だった。

 それがキッカケでここに入った」


「組織には、タキのような境遇の人がたくさんいるんだよ」

「悪どい狩り人がいると聞いてるが、聞きしにまさる(ひど)さだな。一人残ったのか。悪いこと聞いた」ショウが謝罪すると「俺の家族は全員ダメだったが、向こうの一人娘が生き残った」


「本当!」ラルが身を乗り出すと「向こうの母親が自分を盾にして守ったから、かすり傷程度で済んだんだ」


「その子はどうなったの?」

「俺が引き取った。今は組織の保護施設にいる」

「その子だけでも助かったのは救いね」


「信じられねえよ。また一歳にもなってなかったんだぜ」

「そうなの……名前は?」

「シェスタだ」


 そこへ、ミシェルがポトフを持ってきた。



 翌朝、村をあとにしたラルたち一行は、その日の夕方に目的のマウスセット村に着いた。


「当分の間、ジープには乗りたくないわ」ラルが腰を叩きながらジープから降りると「確かに」反対側から降りるショウが伸びをする。


「あと十回くらい乗れば、尻の皮が厚くなって、どうってことなくなるよ」カイが平気な顔をして荷物を降ろすので「それだけは、絶対に、避けたいわ」荷物を持つと、情報部員として調査している男の家に入る。


 その家は、掃除をするのが大変だろうと思うくらい大きく、豪邸と呼ぶにふさわしかった。


「長距離をお疲れ様」情報部員の中年の男が、ジープが停まる音を聞いて出てくると声を掛けてきた。

 見た目にはどこにでもいそうな、人のいいお父さんに見える。


「急に訪ねてきて、村の人達に怪しまれないか?」心配するショウに「君たちは、私の遠い親戚とその友達と言ってある。心配することはないよ」にこやかな顔をして答え、家に招き入れる。


「どうぞ、座ってください」

 応接間に通されたが、座るのが苦痛で立っているラルに、奥のキッチンから出てきた女の子が声を掛けてくる。


「紹介しよう。娘のサナとマチだ」

 二人ともまだ十代だろう。笑い顔にあどけなさが残っている。


「あの、奥様は?」

「妻は、五年前に病気で亡くなったよ」

「まあ、ごめんなさい。失礼なことを聞いてしまったわ」

「いや、構わないよ。いなければ不思議に思うからね」


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