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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
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8-1 組織での救出作戦

 

 翌日のお昼すぎ、ラルたちは、カイが運転するジープで本部がある岩山の中の基地からでた。


 マウスセット村はここから北へ約一日半のところにあり、ここの領主は最近、隣の領主と組んで何やら計画しはじめたという情報が入っている。


「何を企みはじめたのか知りたいわね」後部座席のラルが話を振ると「他の領主の動向も確認してるから、一部での企みか全体かによって変わってくだろう」助手席のタキが答える。


 目的地の領主は幅広く海運業を営む大物だが、裏では麻薬密売をしているという噂があり、手を組んだ隣の領主は造船業を生業(なりわい)としていて、この二人は表でも裏でも良きパートナーなのだ。


「密輸で金儲けしたとすぐにわかるわね」手持ちの資料に目を通すと「世界でも有名な美術館から盗まれた盗品は、奴の船で海外に持ち出されると言われてる」ショウが補足するので「あら、詳しいのね」


「以前、調べたことがある」

「となると、彼らを運ぶのに何の問題もないということね?」

「隠し部屋なんて、いくらでも作れんからな」運転しているカイが話に入ってくる。



 その日の夕方、泊る予定の村へ着き、宿屋の横にジープを付ける。


「けっこう賑やかな村ね」

「村というより町に近いな」辺りを見回すショウ。


 宿屋が面しているメイン通りにはたくさんの飲み屋が軒をつらね、どの店に入ろうかと、旅行者らしい人達が中を覗き込んでいる。


「ここはワインの産地なんだぜ」カイの説明に「本当? 飲みに行ってもいいかしら?」

「ここにきて飲まないのは、嫌いな奴だけだよ」

「嬉しい!」


「宿屋に行くほうが先だぞ」タキが荷物を持つのであとから付いていくと、宿屋の主人と話が付いているらしく、すぐ部屋へ通してくれた。


 今回、ショウと別の部屋だったのでラルからの苦情はなく、それぞれ荷物を置くと、カイがお勧めの飲み屋へ連れていってくれた。


「彼らはよくここへ来てるみたいね」ショウと並んで席に着くと、店の中を見回す。


「いらっしゃいませ」二十歳くらいの女性がオーダーを取りに来ると「紹介するよ。妹のミシェルだ」とカイが言うので「妹? 全然似てないけど」


 彼女は小柄なところはカイに似ているが、どことなく上品な雰囲気を持つかわいらしい女性だった。


「よくそう言われる」嬉しくない言葉らしく、ムッとする。

「タキさんもお元気そうで」ミシェルが声を掛けると「会うたびにきれいになっていくな」

「まあ、ありがとうございます」


(あの不愛想なタキが褒め言葉を言ってる!)驚きの目でタキを見るラルとショウ。


「今日は何があるんだ?」カイが聞くと「ポトフがあるわ」

「じゃあ、それと合うワインを一緒に持ってきてくれ」

「はい」ミシェルは一礼すると店の奥へ行った。


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