6-3 本部内の調査開始
「ところで」ショウが口を挟む。「俺たち、ここへ来てから大分経つけど、救出活動はやらせてもらえないのか?」
「実は、君たちが言ってくるのを待ってたんだ。ここに慣れてもらうほうが先だからね」
「それは知らなかったわ」意外な答えに驚く。
「僕が、君たちを監視してると思った?」
「ええ」
「……本当に、君には参るな」
「あら、なぜ?」
「普通はそうやってハッキリ答えないだろう?」
「言ったでしょう? グズグズするのは嫌いだって。それに、下手なこと言って誤解されたら、それこそ大変なことになるわ」
「その意見には賛成だね」
「大勢で動くからには、お互いの信頼関係が成り立たないと、何事もうまく行かないでしょう?」
「でも、まだ君たちは隠し事してるだろう?」
「問題ないくらいのことはね」
「どう問題ないのか、僕にはわからないけど」
「信頼関係を築くうえで、問題ないということよ」
「……わかりました」苦笑するアディ。
「それで、俺たちはどんな事をやらせてもらえるんだ?」ショウが話を戻すと「正直言って、君たちにはまだ聞きたいことがあるんだけど、それは君たちも同じだろう?」
「もちろん。あなたも私たちに話してないことがあるでしょう?」
「でもそれは、彼らを助けるということに関して支障がない、ということになるよね?」
「私が先に言ったんだから、言い返せないわ」
「今回はドローかな?」
「傍から見れば、こんな状態で、どうやって信頼関係が成り立つのかって、不思議に思うだろうな」二人のやり取りを聞いてショウが苦笑するので「どうして? 救出活動に関しては、お互い真剣に取り組んでるのよ。それだけわかれば十分でしょう?」
「今のところはね」楽しそうにラルを見るアディ。
「それでお互い納得できれば文句言わないけどね」ショウがアディを見ると「僕は、無理に君たちから隠してることを聞き出そうとはしないよ。だから、君たちがいらない警戒をする必要ないよ」
「……やっぱり見抜かれたか」
「話の持っていきかたは悪くないよ。でも、僕を試そうとするのは、ちょっと冒険のしすぎだと思うよ」
「もう少し勉強するわ」ラルがため息を吐くと「次が楽しみだね」楽しそうなアディ。
「でも、気にならないか? 俺たちが隠してること」
「会っていきなり何でも話す人は半分が作り話だし、そういう人は騙すのが得意だから、返って信用できないんだよ。特に僕たちのようなことをしてればね。ある程度、相手のことがわかってから少しずつ話すだろう?」
「さすがプロ」感心するショウが「で、俺たちは最初に何をしたらいいんだ?」
「明日、君たちと組むチームのメンバーを紹介するよ。任務のことはその時話す」
「わかった」
「では明日、午前九時に会議室で」
アディが先にラウンジから出ていく。




