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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
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5-2 もう一つの報告会

 

「シルバーフェニックスたちが結成してる救出部隊のメンバーが、キラと名乗ってることを知ってるだろう?」

「それは知らなかったと答えただろう?」

「僕にウソは通用しないよ」

「本当は知ってるのか!」驚くジットがショウに確認する。


「どうして知らないフリをしてると思うんだ?」

「見破る手立てを知ってると前にも言ったはずだよ」

「それくらいのことが気になるのか?」

「言っただろう? なぜ知らないフリをしなければならないのか、その理由が知りたいと」


「そうだな」ショウは少しの間考えると「君たちが、どこまで信用できるかわからなかったからだ」

「信用できなかったから、知らないフリをしたと?」

「そうだ」

「目の前にいる僕を信用できないということか?」

「そうだ」


「……ウソだろう? ダメだよ。そんなウソは僕に通じない」

「ウソだという証拠は?」

「君も相当な頑固者だね」

「少し自負してる」あっさり言い返してウイスキーを飲む。


「言いたくないのであればこれ以上は聞かないけど、それでは、君たちを僕たちの仲間として迎え入れることは難しくなるね」グラスビールを飲むアディ。

「そう言うだろうと思ってたよ」


「じゃあ、訳を教えてくれるんだろう?」

「ずいぶんと簡単に聞くな」


「頭脳戦は得意だけど、そこまでして真相を聞きだそうと思わないことと、そんなことをしなくても、話してくれると思ってるから」

「元心理官の吐かせるワザか?」

「まあね」


「……なぜ、キラという名前がわかったのか、疑問に思ったからだ」

「疑問? なぜ?」

「聞くのか?」

「聞きたいね。どうして疑問に思うんだ? そして、どうしてその事が知らないフリをする理由になるのか、教えてほしい」


「彼らが使ってる偽名かもしれないし通り名かもしれない名前を、誰が、なぜ知りえることができたのか」


「それは私も引っ掛かったよ」ショットグラスを持つジットが話に入ってくる。「どうして名乗ってる名前がわかったんだね?」アディに聞くと「それを僕も知りたいんだよ。だから、知ってそうな人がいたら、教えてもらおうと思ってたんだ」

「それでしつこく聞いてきたのか」


「知ってるのか?」

「俺も、いや、俺たちも、この情報を手に入れたときから調べてる。だから、この情報を知ってる人物に会ったとき、思わせぶりに知らないフリをしたらどう出るか、確認したかった」


「彼を疑ってたのか?」


「ジットには申し訳ないですけど、これだけ大きな組織のリーダーなら、情報源をたくさん持ってる。もしかしたら何か裏で企ててるかもしれないから、信用できるまで迂闊なことは話せなし、俺たちの知らない裏情報を入手してる可能性もあるので、探るターゲットになる」


「……そうだな」


「探るために、わざと思わせぶりな態度を取ったというのか?」

「そうだ。そこで聞きたい。どこからこの情報を仕入れたんだ?」


「君たちは、潜り込んだ領主が雇ってる狩り人のリーダーからだったな」

「正確には、奴の上着の内ポケットに入ってる書面を見たからだ」

「書面? そんなものを持ってたのか?」


「怪しいだろう? 普通、メールで知らせるはずが、奴は書面を持ってたんだ」

「……そうか……」と言ったっきり、アディは黙りこんで考えはじめる。



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