5-2 もう一つの報告会
「シルバーフェニックスたちが結成してる救出部隊のメンバーが、キラと名乗ってることを知ってるだろう?」
「それは知らなかったと答えただろう?」
「僕にウソは通用しないよ」
「本当は知ってるのか!」驚くジットがショウに確認する。
「どうして知らないフリをしてると思うんだ?」
「見破る手立てを知ってると前にも言ったはずだよ」
「それくらいのことが気になるのか?」
「言っただろう? なぜ知らないフリをしなければならないのか、その理由が知りたいと」
「そうだな」ショウは少しの間考えると「君たちが、どこまで信用できるかわからなかったからだ」
「信用できなかったから、知らないフリをしたと?」
「そうだ」
「目の前にいる僕を信用できないということか?」
「そうだ」
「……ウソだろう? ダメだよ。そんなウソは僕に通じない」
「ウソだという証拠は?」
「君も相当な頑固者だね」
「少し自負してる」あっさり言い返してウイスキーを飲む。
「言いたくないのであればこれ以上は聞かないけど、それでは、君たちを僕たちの仲間として迎え入れることは難しくなるね」グラスビールを飲むアディ。
「そう言うだろうと思ってたよ」
「じゃあ、訳を教えてくれるんだろう?」
「ずいぶんと簡単に聞くな」
「頭脳戦は得意だけど、そこまでして真相を聞きだそうと思わないことと、そんなことをしなくても、話してくれると思ってるから」
「元心理官の吐かせるワザか?」
「まあね」
「……なぜ、キラという名前がわかったのか、疑問に思ったからだ」
「疑問? なぜ?」
「聞くのか?」
「聞きたいね。どうして疑問に思うんだ? そして、どうしてその事が知らないフリをする理由になるのか、教えてほしい」
「彼らが使ってる偽名かもしれないし通り名かもしれない名前を、誰が、なぜ知りえることができたのか」
「それは私も引っ掛かったよ」ショットグラスを持つジットが話に入ってくる。「どうして名乗ってる名前がわかったんだね?」アディに聞くと「それを僕も知りたいんだよ。だから、知ってそうな人がいたら、教えてもらおうと思ってたんだ」
「それでしつこく聞いてきたのか」
「知ってるのか?」
「俺も、いや、俺たちも、この情報を手に入れたときから調べてる。だから、この情報を知ってる人物に会ったとき、思わせぶりに知らないフリをしたらどう出るか、確認したかった」
「彼を疑ってたのか?」
「ジットには申し訳ないですけど、これだけ大きな組織のリーダーなら、情報源をたくさん持ってる。もしかしたら何か裏で企ててるかもしれないから、信用できるまで迂闊なことは話せなし、俺たちの知らない裏情報を入手してる可能性もあるので、探るターゲットになる」
「……そうだな」
「探るために、わざと思わせぶりな態度を取ったというのか?」
「そうだ。そこで聞きたい。どこからこの情報を仕入れたんだ?」
「君たちは、潜り込んだ領主が雇ってる狩り人のリーダーからだったな」
「正確には、奴の上着の内ポケットに入ってる書面を見たからだ」
「書面? そんなものを持ってたのか?」
「怪しいだろう? 普通、メールで知らせるはずが、奴は書面を持ってたんだ」
「……そうか……」と言ったっきり、アディは黙りこんで考えはじめる。




