20-1 水面下の保護団体
次の日の午前十時。
二人はチェックアウトするとホテルの一階にあるティールームへ入り、向かい合って座ると紅茶を頼む。
「これからの予定は?」ショウが聞いてくるので「あんたの追跡を交わすこと」眉間にしわを寄せ「今からでも遅くないわ。PFSに戻りなさい」
「ヤダね」
「なんで? なんでPFSじゃダメなの?」
「そういうお前は、なんで抜けたんだ?」
「私のことはどうでもいいじゃない」
「じゃあ、俺のことだってどうでもいいだろう?」
「ヘリクツばっかり言って」
「そっちが言わないんだったら、俺も言わない」
ここで紅茶が運ばれてきたので一口飲み「言うんだったらそっちが先よ」と振ると「俺が話したらお前も話すか?」
「……聞いてから考えるわ」
「それじゃダメだ」
「……わかった。話すわよ」
「絶対?」
「……ええ」
少しの間キラの様子を見ると「彼らのことを詳しく知りたくなったからだ」
「彼らの調査はPFSでもやってるじゃない」
「まあな。でも、彼らは自分たちのことについて何一つ喋ってくれない」
「それはしょうがないわ」
「気持ちはわかるが、教えてくれなければ何も解決しない。いつまでも同じことが続くだけだ」
「彼らの信頼を取り戻すことは、とても難しいわ」
「わかってる。彼らの怯えた目を見ればな」
「それで?」
「それで考えたんだ。なぜ助けてる俺たちに心を開いてくれないのか。
俺たちが敵対する人間だということが理由の一つだ。それは最初に思い付くが、他にも理由があると思う。
もしかしたら、組織で動いてるから、大勢の人間が取り囲んでるからじゃないか。
彼らは、幽閉されてるときも保護されてPFSの施設に来ても、状況が変わらないと思ってるんじゃないか。
俺たちを見る彼らの表情を見てそう思った」
「それで?」
「俺たちは、彼らがどのような力を持ってるのか、どのような特徴を持ってるのか把握してない。
そんな俺たちに話したら、態度が豹変し、もっとひどい事をされるんじゃないかと思ってるのかもしれない。
だとしたら、組織で大勢で動いてたら、いつまで経っても彼らは口を開いてくれないだろう。
だったら一個人で動こう。俺一人で動いてたら、誰かが心を開いてくれるかもしれない。
そう考えてたとき、お前がいるグループのことが耳に入ってきた」
「なぜ私がそのグループにいると思ったの?」
「お前が行方不明になったと同時に現れたからさ」
「そんなの偶然だわ。本当にそれだけの理由なの?」
「もちろん、それだけじゃない。しかし、話を聞いてピンときたんだ、ここにいるってね」
「……すごい勘だこと」
「そう思ったとき、お前に会おうと思った」
「どうして?」
「彼らに付いて詳しく知ってるからさ」
「あら、詳しくなんて知らないわよ」
「ウソ吐け」
「ウソ? 私がウソを吐いてると言うの?」
「そうだ」
「その根拠は?」
「お前が教えてくれたじゃないか」
「私が? いつ、どこで」
「二度目に会ったときだ。その後でも教えてくれた」
「どんなことを?」




