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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
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1-4 本部への移動


  結局、ラルはショウと同じ部屋に泊ることになった。

 どこの宿屋も空き部屋がないと断られてしまったのである。


「なんてついてないのかしら?」そのため少々おかんむり。


「この辺りは、午後九時以降の客は泊めないと、さっきスタンが言ってたぞ」

「どうして早く教えてくれないのよ!」

「お前が出ていったあとに聞いたからだ」


「そんな重要なことは、夕食前に言ってほしかったわ」

「別行動されたら困ると言ってただろう」

「……やられた」


「それにしても、若い女性が一人、夜に宿を探しまわるなんて、絶対しないだろう?」

「あら、心配して泊めてくれると思ってたけど」


「それこそ襲われたらどうするんだ!」

「そうね。催眠術を掛けて、警察に自首するようにするわ」

「……なるほど」


「それにしても、簡易ベッドで寝ないといけないなんて」

「俺がいてイヤなんだったら廊下で寝るよ」立ち上がるショウに「いいわよ。廊下で寝て、暴漢にでも襲われたら私のせいになるじゃないの」


「イヤなんだろう?」

「……いいわよ」

「チェ、そんな言われ方されたら気分悪くなる」

「当然のことを言ったまでよ」


「フゥ、俺、また前みたいに扱われるのか?」

「そうならないように頑張ってね」

「……頑張れるかよ」ふてくされて簡易ベッドに横になると「早く寝ろよ。明日は朝が早いんだからな」



 翌日、予定時刻に出発した。


「何かあったのか? やけに静かだが、あのあとケンカでもしたのか?」

 後部座席の二人が一言も話をしないので、スタンが確認してくる。


「黙ってると気持ち悪いぞ」運転しているカイも気に掛けてくるので「熱風が吹くとどうなるのか、考えてるんだよ」ショウが返事をすると「干からびるな。車ごと」

「車が干からびるって、どうなるんだ?」想像できないショウが反論する。


 ラルは、窓の外を見たまま何も喋らなかった。



 途中で何回か休憩を取ったが、その度にラルは体調の変化を、ショウは時刻を確認してタブレットに入力すると、午後三時、マーガの森まできた。


「確かに噂になりそうな感じの森だな」薄気味悪い森を見るショウ。


 何百年も経っていそうな曲がりくねった幹が、陽の光に当たろうと枝を外へ伸ばしている。


 ジープが森に沿って走っているとき、ラルがショウの上着の袖を引っ張るので「どうした?」小声で聞くと「ヌメッとする」

「結界か?」

「たぶん」

「わかった」タブレットの電源を入れると地図をだし、印をつける。 


 その後、ジープは途中で二手に分かれる道を、森の中へと続く薄暗いほうへ曲がって進む。

 道は森の中へ入ると急に悪くなり、ガタガタと揺れながら奥へ奥へと進んでいく。


 カイがハンドルを取られないように速度を落として運転するが、鬱蒼と茂った草木が道の至るところに張り出していて、陽の光が(わず)かしか届かないため薄暗く、運転しずらくなっていく。


 そこからゆうに一時間は走っただろうか。前方に切り立った崖が現れた。


「すごい高さだな」見上げるショウに「フロッティー山脈だよ」カイが説明する。


 この大陸の東側にそびえる山脈。


「どうやら、この山脈のどこかにアジトがありそうだな」ラルに声を掛けると「姿を変えることができるようになった」額の絆創膏(ばんそうこう)()がされているので「どこから?」

「森の手前、結界に入ってから」

「やっぱり、この森には何かありそうだな」


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