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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第六章 大陸にある保護団体
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1-3 本部への移動

 

「どうするんだ?」ショウが確認すると「どうもこうもないでしょう。他の宿屋を探せば済むんだから」


「今さら何を言ってるんだか。昨日まではお子様ラルちゃんで、寝付くまで傍にいてやったのに」ため息を吐くと「そんな事があったかしら?」記憶にないとソッポを向く。


「とにかく部屋に入れ。ここじゃ話が筒抜けだ」

「だったら宿屋を探しに行くわ」歩き出すので「ラル!」

「じゃあね」

「待てよ」

「待てない」


「いいから部屋に入れ」無理矢理腕を掴んで部屋に入ると「何するのよ。早く部屋を探さないと、空き室がなくなっちゃうでしょう!」


「まったく、このワガママさ、前のお前だよ」

「そお?」明るく返事をされて肩を落とす。

「で、何を話すの?」


「ハァ」深くため息を吐くと「まだ姿を変えることができなくて、額にチップを貼ってること、忘れてないだろう?」

「もちろん。ベージュの絆創膏(ばんそうこう)を貼って隠してるから、大丈夫よ」額を触る。


「何かの拍子で襲われて、運悪く絆創膏が取れてしまって、姿が元に戻ったらどうするんだ?」

「そんな不幸な偶然、起きるほうがおかしいわよ」


「……楽観的なところも前のお前だよ」

「起きるかわからないことをウジウジ考えたくないの」


 その時ドアがノックされ「夕飯の時間になりましたので、一階の食堂へお越しください」と、ここの女将さんだろうか、女性の声がするので「わかりました」ショウが返事をすると隣へいく足音がする。


「食事の用意ができてるのなら、食べてからにするわ」荷物をドア横に置くと「行くわよ」ショウに声を掛けて部屋から出る。


 食堂へ行くと、人数分の料理が部屋の奥のテーブルに置かれていた。


「話は付いたか?」先に来ていたスタンが聞いてくるので「いや」ショウが困った顔をすると「とにかく先に食べたいわ。お腹空いちゃった」ラルが近くの椅子に座る。


 ショウは隣の席に座ると、小声で「こんなところで問題を起こすなよ。置いてかれたら元も子もないぞ」と言うと「わかってる」スタンの困った顔を見て考えているようだ。


 遅れてきたカイが席に座ると、スタンが「明日はここを八時に出る予定だから、寝坊しないように気を付けてくれ」と言うので「早いな」ショウが呟くと「明日の午後、ここら辺一帯に熱風が吹くと予報が出てるから、砂嵐に巻き込まれる前に、通り抜けておきたいんだ」


「熱風? 想像できないな」

「ぞれじゃ、今夜は早く寝たほうがいいわね」ラルがスプーンを持って食べはじめる。

 

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